内容説明
数千年にもわたって人間と歩みをともにしてきた、愛らしくも謎めく動物、猫。そんな猫の神秘性を題材に、現代SF・ファンタジイ界の豪華作家陣が紡ぎだす妖しい物語の饗宴!収録作は17篇。それぞれの作家の持ち味が遺憾なく発揮された、ファンにはこたえられない珠玉の猫ホラー・アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネムコ
27
ご無沙汰の翻訳物に挑戦! 猫がテーマの怖い話。生の猫があまり出てこなかったのが残念。しかし普段触れたことのない世界に連れていってもらいました。象徴としての猫、猫の姿をした高位の存在、人とふれあう猫、人の目のないところで蠢く猫、そして人を殺す猫。スティーブン・キングはやっぱり凄かった(猫と殺し屋)。映像が頭に焼き付く。それから、猫好きをほろりとさせる「天国の条件」。『私の愛する猫たちの出迎えがないのなら、天国は天国たる資格がない』。(続く)2021/08/10
ビスケ
9
猫のホラー・サスペンスアンソロジー。すべて海外小説です。編者が猫好きで、「邪悪な猫の話は避けるようにした」とのこと。セレクトが「わかってるね!」って感じで、とてもいい。猫のかわいさ、かしこさ、やさしさ、神秘さが表れた作品ばかりのうえ、それぞれの作品のクオリティも高い。バロウズ、キング、タニス・リーなど知ってる作家もいれば、そうでないのも。「天国の条件」と「顔には花、足には刺」が好き。キングの短編はかなり笑った。猫最強!2012/06/11
竜王五代の人
4
猫は象徴的に絡められるだけで、現代アメリカの病理を抱えた社会や家庭を主題にした作品ばっかりで、陰鬱な気分になる。例外はネコちゃんの野外広告作家の話のモーラン「天国の条件」、殺し屋さえ殺す復讐猫のキング「猫と殺し屋」、魔女狩りを絡めた、作中作の多い中世ファンタジーのリー「顔には花、足には刺」ぐらい。2024/04/29
くさてる
3
「猫」をテーマにしたホラー&ダーク・サスペンスのアンソロジー。書き下ろしにもかかわらず、粒揃いで驚いた。読み応えだけでなくしっかりした読後感が残る作品が多い。文学的でもある。タニス・リーやジョイス・キャロル・オーツの書き下ろし短篇もあるのでお好きなかたにおすすめ。2012/05/26
moon-shot
2
猫の出てくるホラー短編集。こうして読むと、人間の病んだ心理を猫に投影させているストーリーが多く、猫が主体的?に動く物語が少ないのがやや不満。私的には、猫が裏で世界を動かしている「白のルークと黒のポーン」のような話が大好きです。魔女狩りをモチーフとした壮大なファンタジーになってる「顔には花、足には刺」も、短編とは思えない凄い密度で良かった。老いと死をテーマにしながら全編中最も明るいトーンの「天国の条件」も猫好き推しの作品。猫愛が溢れてます。「私の愛する猫たちの出迎えがないのなら、天国は天国である資格がない」2022/03/29