内容説明
記憶―それは人間の現在と過去を結ぶ重要な鍵であり、われわれの性格やふるまいの基準、すなわち人格の基礎を形づくるものである。だがここに「多重人格」という不可解な現象がある。一人の人間のなかに存在する複数の人格が、それぞれ独自の記憶を持っているのはなぜか?哲学者で物理学者でもある著者は、この疑問を糸口として、記憶の果たす役割の解明に挑む。多重人格の代表的な症状、診断基準の変遷、幼児虐待やトラウマとの因果関係、その症例のほとんどが女性である理由、最初の多重人格者ルイ・ヴィーヴの生涯、ここ数年で症例報告が爆発的に増えた意味など、著者は多重人格をめぐる数々の論点を豊富な実例をあげて検証することで、記憶が人格におよぼす驚くべき力を明らかにしていく。そしてさらに、無意識のうちに自己の記憶を書きかえることで、新たな人格がつくり出される可能性までをも論じていく。多重人格の考察と記憶に関する最新研究を通して、人間の心の本質に迫る知的探究の書。
目次
それは本当か?
それはどのようなものか?
運動
幼児虐待
ジェンダー
原因
測定
記憶の真実
分裂病
記憶以前〔ほか〕
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- 和書
- 電磁気学ノート(改訂版)