記憶を書きかえる―多重人格と心のメカニズム

記憶を書きかえる―多重人格と心のメカニズム

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  • サイズ B6判/ページ数 363p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152081568
  • NDC分類 145.8
  • Cコード C0011

内容説明

記憶―それは人間の現在と過去を結ぶ重要な鍵であり、われわれの性格やふるまいの基準、すなわち人格の基礎を形づくるものである。だがここに「多重人格」という不可解な現象がある。一人の人間のなかに存在する複数の人格が、それぞれ独自の記憶を持っているのはなぜか?哲学者で物理学者でもある著者は、この疑問を糸口として、記憶の果たす役割の解明に挑む。多重人格の代表的な症状、診断基準の変遷、幼児虐待やトラウマとの因果関係、その症例のほとんどが女性である理由、最初の多重人格者ルイ・ヴィーヴの生涯、ここ数年で症例報告が爆発的に増えた意味など、著者は多重人格をめぐる数々の論点を豊富な実例をあげて検証することで、記憶が人格におよぼす驚くべき力を明らかにしていく。そしてさらに、無意識のうちに自己の記憶を書きかえることで、新たな人格がつくり出される可能性までをも論じていく。多重人格の考察と記憶に関する最新研究を通して、人間の心の本質に迫る知的探究の書。

目次

それは本当か?
それはどのようなものか?
運動
幼児虐待
ジェンダー
原因
測定
記憶の真実
分裂病
記憶以前〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

38
PC的にアウトなやつで、それ故に知的な真実があると余計に主張したくなるともいえます。①身体的な病気は視認できるのに、心の病気は視認できない。心にとって病気とは何かという問題です。医療行為は必要ですが、対処療法的にする以上になぜ心の病気を命名すると患者が増えるのか。助かった人が多くいることはいうまでもありませんが、これらが市民権を得ることで、悪気が無くてもアイデンティティのために名乗る人にとっては、命名によってこじれるリスクが高いのではないかと思います。②我々は現在、記憶に対して権力的な力が付与された社会に2021/05/22

テキィ

5
人間は極めてメカニカルな仕組みだと思う今日この頃。2011/03/27

roughfractus02

4
「rewrite(書き換える)」ことはデジタル化することであり、神の超越性なしに「人間」概念を説明する時代と領域では「記憶」がその座に就く。時代は19世紀、領域は科学である。邦題は原題は“Rewigting The Soul”であり、Soul(魂)という形而上学的に人間を規定していた概念が科学の対象になる時代を語りながら、著者は「書き換える」行為が現代の多重人格概念の形成過程にもあり、多重人格自身に書き換えの性質を見出す。一見構成主義的で心理学データも古く見えるが、そう思う時すでに書き換えが行われている。2017/03/09

19番ホール

3
ケーススタディ多めであんまり。。2023/04/11

ぷほは

3
90年代の『サイコメトラーエイジ』とか『多重人格探偵サイコ』とかを思い出しつつ。ループ効果に関しては、結局「何としてwhat」人々を分類するのかという定義と、「誰がwho」その人々なのかという同定の区別がよく分からないし、「われわれ」と書かれているときのメンバーの内実が時間・空間的にどのように境界づけられているかも曖昧なように思われる。知識と実践の相互作用を記述する際に前者から話を始めるのは科学哲学者として当然なので、ブルデューやギデンズのように「構造」を持ち出すことがないためその辺は危なっかしくはない。2018/08/04

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