出版社内容情報
現在の宇宙論の最先端の状況を俯瞰するのに最適なのがデニス・オーヴァバイ『宇宙はこうして始まりこう終わりを告げる』(白洋社四五〇〇円)だ。これをあわせ読むと、グリビンの宇宙進化論の背景がよくわかる。また、スティーヴン・ホーキング/ロジャー・ペンローズ『時空の本質』(早川書房一六〇〇円)P・C・W・デイヴィス『ブラックホールと宇宙の崩壊』(岩波書店一六〇〇円)も、特異点とは何かをしるためにぜひ読んでおきたい本だ.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてほくの大量読書術・驚異の速読術』347頁、より)
内容説明
本書は、1994年にケンブリッジ大学アイザック・ニュートン数理科学研究所で行なわれたスティーヴン・ホーキングとロジャー・ペンローズによる宇宙論歴史的な連続講義の記録である。時空の本質の解明のため、一般相対性理論と量子力学を統一した「量子重力論」の構築をめざし、お互いが3回ずつ交互に講義し、最後に2人が討論するという形式で展開された。宇宙は科学でどこまで解明できるのか―この気の遠くなるような問いに敢然と挑み続ける天才2人が、大域的トポロジー、ツイスター理論など、独創的理論を縦横に駆使しながら、時に互いの見解の相違にまで踏み込んで宇宙の本質に肉迫する、待望の、そして最も新しい宇宙論。
目次
第1章 古典理論
第2章 時空特異点の構造
第3章 量子ブラックホール
第4章 量子論と時空
第5章 量子宇宙論
第6章 ツイスターで見る時空
第7章 討論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
卯月
7
1997年刊。間違えて同じ本を2冊買った人から貰った。ホーキングとペンローズが3章ずつ交互に語り、最後に討論。私、大学でシュレーディンガー方程式や、熱力学のエントロピーは一応習ったんだが、のっけからヌル測地線の意味が解らん(苦笑)。でも面白い。数式は少なくて、図で説明されている概念をいかに理解するかに全力注ぐ感じで読む。難しい内容を講義している筈なのに、「四次元の映像をお見せしたかったのですが、政府が予算を削減したために、ケンブリッジ大学は二次元のスクリーンしか用意できませんでした」とかちょくちょく笑う。2021/03/21
roughfractus02
7
本書はかつて共同研究した2人が交互に講義し、最後に直に討議した講義録である。ミンコフスキー時空(3+1次元)で特異点定理を概説に始まり、事象の地平に囲まれない裸の特異点を宇宙論に組み込んで(宇宙検閲官仮説)、「ホーキング放射」へと進むと、両者は「ブラックホールの情報喪失」で袂を分かつ(後にキップ・ソーンが情報喪失はないと証明)。討論ではホーキングの虚時間導入によるユークリッド化とペンローズのシュレーディンガーの猫へのこだわりの理由がわかる。ファインマン経路積分で量子宇宙論を概説するホーキングの5章がいい。2019/12/26
Rachel
5
ブラックホールや特異点の話題が多い。式も多め。正直式は分かんないんだけど面白い!これが天才たちの議論か。ホーキングの量子宇宙論はかなり面白かった。ホーキングは実証主義、ペンローズはプラトン主義ということで、ペンローズの主張も詳しく知りたいなあと思っているんだけど、この本に関して言えば、さらに私のような物理学を学んだわけではない人からすれば、ホーキングの話の方が直感的には分かりやすいのかもしれない。2017/06/22
まつど@理工
4
こっこれは面白い!!ホーキングvsペンローズの討論形式の講義集。何度も再読したい。1割しか分かんないけど、僕はホーキング派かな。2013/08/16