内容説明
アイガー北壁で遭難事件を起こし、スイスに居づらくなった登山家の滝沢はヒマラヤへ向かった。滝沢の旧友の窮地を告げる手紙が届いていたのだ。チベット独立運動の闘士ニマが、消息を絶った―ニマがじつは日本人で、自分の父親ではないかと疑う女性、摩耶からの手紙だった。かつてニマとともにヒマラヤを駆けた滝沢は、合流した摩耶とともに、苛酷な山々と政治の罠へと踏みこんでいく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamakujira
7
「遥かなり神々の座」から5年後、ふたたびネパールを訪れた滝沢は、またまた戦闘に巻きこまれていく。前作では必死だった滝沢が、なんだかスイスでは我儘に、ネパールではヘタレになってるような気がするけど、そんなダメぶりから生き方に迷う苦悩が伝わるね。戦闘になると俄然逞しくなる滝沢に、死と隣り合う危険に昂揚するクライマー魂を感じた。相変わらず冗長な出だしに苦労したけれど、舞台が山になると惹きこまれるなぁ。でも、1ページに1144文字を詰めこんだ二段組みの厚い本は、小さなフォントで眼が疲れた。 (★★★☆☆)2015/12/09
バンジーズ
0
やっぱり谷甲州の山岳物は良い。クライミングをしている私にとっても違和感がなく物語に入り込めた。 逆に言うと、他の著者の山岳小説は、ほとんどすべてが嘘くさく、山ではありえない話ばかり。 山屋という人種の中には、定職につかずにハードに登り続けて、突然遭難して死んでしまう人が、結構多くいるが、そんな人たちのことを思い出させてくれる一冊だった。2015/09/04
Yoshihiko Nakade
0
「天空への回廊」もそうだが、やはりこのジャンルの本は好きだ。ストーリーに引き込まれ、あっという間に読み終えてしまった。読み終えてから、「遙かなり神々の座」の続編でもあることがわかった。作者曰く、こちらでけでも楽しめるそうだが、読んでいた方がさらに面白かったかもしれない。ちょっとわかりづらいというか、唐突なところもあった。唐突なところと言えば、最終章の山田昇氏のくだりは、やはりちょっと唐突・・・作者の思い入れだとは思うが。でも、やっぱり面白かった。2013/02/25
niko婆
0
「遥かなり…」では巻き込まれ追われ訳判らず戦士になっちゃった滝沢も本作では自ら動いていく。その分気持ちよく読めた気がする。エベレスト廻りの地形とか頭に入っちゃったわ…2010/11/01
08041511
0
中々の大作、例えて言えば、天空への回廊のような感じ。 前半のアルプス、中盤のチベット、そして クライマックスのチョモランマ。 息つく暇もなく続くストーリー展開で一気に読めた。しかしラストはもう少し何とかならなかったのかと。 2018/06/15