感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
76
表題作はクロウリー版創世記だけど、男の子と女の子を創造したのが地母神、女の子に「時」という概念を教えた楽園の蛇の役割が月なのは女性的な一面が見受けられる。そして「想像する事に因る恐れと予言性」に怯える人類へのナイチンゲール自身の考えからくる優しさが沁みます。そして『ノヴェルティ』は「創作の神様が降ってきた」状況のメタ・フィクション的な作品で個人的に好きです2017/07/16
miroku
19
名前という原初の呪がエデンの時間を動かし始める。楽園を追われても進み続けたいという人の欲求は崇高でもあり、哀しくもある。印象的な作品でした。2012/12/02
maja
15
楽園を妖しく照らす月の満ち欠けに、母なる自然の足跡から誕生した無垢なる“イヴ”は心を奪われていく、表題作「ナイチンゲールは夜に歌う」から始まる「時の偉業」「青衣」「ノヴェルティ」の四編。「時の偉業」目当ての再読。 2022/03/24
スターライト
9
今まで読んでいなかったことを後悔。クロウリー版「創世記」で幕を開け、歴史改変SFの中篇、”行動場理論”なるもので未来予測が可能となった世界でのディストピアSFへと続き、作者自身の投影かと思わせる(違うかも)小説家の物語で締めくくられる本書は、珠玉と呼ぶにふさわしい作品集。私たちが常に岐路に立たされているというクロウリーのメッセージも込められているようだが、SFとファンダジイの境界を軽やかに行き来するこれらの作品を、読者は素直に堪能すればいい気がする。未訳の長篇もぜひ邦訳されてほしい。2014/03/29
しろ
7
☆5 ファンタジー的でSF的で、不思議だけど宗教的な思想もまじっている短編集。こういう本格的なSFは入り込めないことが多いのだが、今作も案の定そうだった。はまるときははまるんだけど、集中力のない読書をしてしまったと後悔。もったいないことをしたんだろうな、とは思うけど、再読しようとは思わないって読後感。装丁とかタイトルがすごく好き。2012/10/28