内容説明
バーテンダーからサンフランシスコの地方検事補に復帰したディズマス・ハーディは、捕獲されてきた鮫の腹から食いちぎられた手首が出てきたのを目にする。ヒスイの指輪をはめた男の手だった。その後、海岸に手首のない男の死体が打ち上げられ、身元はシリコン・ヴァレーの実業家で大富豪のオーエン・ナッシュと判明。2発の銃弾を陰部の上と胸に浴びていた。ハーディは売春、盗難、麻薬所持などの些末事件の処理から、新聞の一面を飾った殺人事件を担当できると張り切る。が、被害者の愛人で元高級娼婦の日系女性メイ・シンが容疑者として逮捕され、事件がスキャンダラスな様相を帯びるとともに、主役の座を野心的な女性検事補プリョスに奪われる。しかも、情報リークの濡れ衣を着せられ、検事局を首になる。ところが、事件は意外な発展を見せ、検察側の敗北、そして思いがけない第二の容疑者の登場。ハーディは、殺人犯として逮捕された元義父―公平さを尊敬されてきた判事だが、メイ・シンと関係があった―の弁護を引き受け、自分を追いやった宿敵の女性検事補と正面から対決することになる。
感想・レビュー
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みも
114
人物描写が極めて濃密。バックグラウンドから容姿から性格描写から、様々な角度から登場人物の骨格を形成する。主役の検事補は言わずもがな、彼の妻や友人の刑事、同僚の検事補、それに殺害された被害者にまで。また、サンフランシスコの地域性を強く意識させ、街の風景と人物を上手く融和させてている。それ故に全ての場面が生き生きしており、そのリアリティは刮目に価する。主旨は法廷劇と言えるが、まだまだ全体の半分のところでは裁判には至らず。早々に被疑者が逮捕されるも、物的証拠が見つからないまま敏腕弁護士により保釈される。下巻へ。2025/04/28