Hayakawa novels<br> オーギー・マーチの冒険 〈上〉

Hayakawa novels
オーギー・マーチの冒険 〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 367p
  • 商品コード 9784152074775
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

288
タイトルからは、もっとストレートな冒険小説を想像していたのだが、その冒険の質はどうやら内面的なもののようだ。基本的には主人公オーギー・マーチのビルドゥングス・ロマンのようなのだが、これまたそうであるにしてはまわりくどく、紆余曲折というよりは、その隘路の方にむしろ中心があるかのようだ。そもそも家族設定も随分と変わっていて、まず父親は不在である。そして、著しく生活力のない母親となんだかよくわからない婆さんがいたりする。この辺りは多分に自伝的な要素を抱え込んでいる故だろうかと思われる。⇒2023/03/10

ケイ

95
カナダ生まれ、9歳よりシカゴで育ったロシア系ユダヤ人作家の出世作。イギリス連邦の一員であるカナダでの生まれも影響しているのか、貧民街で生きるスラブ系ゲットーでの生活は、いわゆる貧しい子供の話と少し違う印象。語り手本人はユダヤ人なのだが、ユダヤ社会にどっぷりつかっているわけでもない。貧乏ながらも逞しく助け合いながら生きている彼の家族と近所の人たち。優等生でハンサムな兄の変化により、主人公と確執がおこり、それが主人公の行動に影響を及ぼすのだが、兄に対しては冷たく突き放したような書き方が気になる。2015/11/25

NAO

66
ユダヤ人のアメリカ移民二世オーギー・マーチの波瀾万丈の生涯。貧しいユダヤ移民がアメリカでの成功を目指すが、アメリカは大不況時代。兄のサイモンは金持ちの女性と結婚することで上を目指すが、オーギーは何をしてもうまくいかない。オーギーは、この先どうなっていくのか。2020/01/17

秋良

18
【G1000】私生児のオーギーは貧乏から抜け出そうとしても不運がつきまとい、一向に抜け出せない。このオーギーが目端がきかないというか肝心なところでボサっとしてるというか、どうも焦れったい。でも悪事を働いても悪党にはなり切れず、結局は周りの人に助けてもらえる得なタイプ。不況の時代のシカゴ、貧しくも逞しい下町気質の人々や、成金の虚飾、労働環境の劣悪さなどが生き生きと書かれている。2021/02/23

takeakisky

1
金のないユダヤ人。20年代から30年代のシカゴ。ローシュばあさん、アインホーン、レンリング夫人。つよい個性のビッグマンたちから影響を受けつつ形成されるオーギーの内面・外面を描くビルドゥングものであると同時に、街が家族の周縁をなしたファミリーヒストリーとしても読める。忘れ難い人々と忘れ難いエピソードの数々。外の世界とオーギーの内面のずれと、影響を受けたり受けなかったりが絶妙で引き込まれる。綿密な構成。軽くてずっしり面白い。一人称の小説の力強さを堪能する。2022/12/10

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