内容説明
ホームズの趣味、お洒落、悪癖、グルメぶり、彼の扱った事件の特徴…。従来シャーロッキアンによって個々に取り上げられてきた事柄は、実は、世紀末ダンディズムというキイワードでみごとに結びつく。そこで浮かびあがってくるのは、時代の流れに疑問符を投げかけつづけた、孤高の世紀末人ホームズの姿である。名探偵を新しい視点で見つめなおし、世紀末の社会・文化を考察する好エッセイ。
目次
第1章 世紀末の悪徳とシャーロック・ホームズ
第2章 シャーロック・ホームズの身分と生活
第3章 シャーロック・ホームズの好きな事件
第4章 シャーロック・ホームズの愛した女
第5章 シャーロック・ホームズのダンディズム
第6章 シャーロック・ホームズの不安
第7章 英国秘密諜報部員としてのシャーロック・ホームズ
第8章 シャーロック・ホームズの引退生活とヒューマニズム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ra0_0in
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ホームズについて詳しくなるというよりは、世紀末とか、一次大戦前のベル・エポックのムードがよく分かる優れた入門書。ドイル以外の作家についても頻繁に言及されており、やっぱりこれだけ読書量のある人の本は信頼できるし面白い。特に著者の専門である「ダンディズム」というのが、世紀末の貴族趣味的退廃の源流として非常に重要であることが分かったのが収穫。「ダンディ」というとハンフリー・ボガートのイメージだったけど、どっちかというとパンクとかゴシックとか、ソッチ系のスタイルの原型なのね。2014/02/12
saba
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ビクトリア時代のロンドンという、シャーロック・ホームズの生きた時代からホームズものを読みとく本。作中に登場する職業や、各階層の生活ぶりなどがわかって本編の面白さも増す。2013/01/15