内容説明
大自然に心ひかれて、77歳の著者がまるで散歩するようにアフリカを旅して出会った様々な事物や出来事を、明快に描く絶妙のルポルタージュ。
目次
1 先史時代の気配に、わが内なるアフリカの心を見る
2 セレンゲティ、地上の楽園で
3 バオバブの巨木こそアフリカの真の主人
4 アフリカの“西部”はマニャーティの村に
5 アフリカの心臓部にあるコモ湖
6 ゴリラこそ最後のエデンの隠者
7 人間そのままに残忍なライオン
8 ヘミングウェイ描くサファリから出てきた象
9 超高層ビルと森林の同居するザイール
10 赤道直下のスーパーで迎える新年
11 マユンバ、森林地帯、荒野の魔術の物語
12 大洋と森の中、スティーヴンソンを思う
13 リーブルヴィルの背後に、裕福な過疎の国が
14 シュヴァイツァー博士の足跡をたどって
15 そして人間は森を殺す
16 ハラレ郊外の黄金のホテル
17 アフリカの豪雨の記録
18 金属製造の神秘的な記念碑
19 ローデスは今も現に、花崗岩の記念碑に
20 ヴィクトリア瀑布、“轟く水煙”
21 カリバ湖畔のこの世のパラダイス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
304
モラヴィアによるアフリカのルポルタージュ。『アフリカ散歩』などと能天気な邦題が付けられているが、この旅は文字通りアフリカの道なき道をランドクルーザーで踏破し、ホテルもない原野の村では伝道所に泊まるような行程だ。モラヴィアは軟弱な文学者というイメージからは、遥かに遠い。しかも驚くべきことに、この時御年77歳である。さらに彼は旅の途次にはヘミングウェイの小説を考察し、ランボー、セリーヌに想いを馳せてもいる。また、アフリカの町々への洞察も鋭く、先鋭にジャーナリスティックである。こういうモラヴィアもあるのだ。2018/06/29