内容説明
酒の密輸グループの仲間を裏切ったために、恐怖にかられ“内なる自分”に追われるアンドルーズ―グループのボスだった父親への憎悪のなかで孤立する青年の繊細な心理をサスペンスフルに描く、巨匠の処女長篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
弾十六
1
1929年出版。ああ、グリーンさんは逃げがちな人生だったのだな、と思った。 最初から誰かに追われている主人公、何故?どんな奴に?という謎と、主人公がどういう男で、途上で知り合った女がどういうヒトなのか、がわかってゆく作品。とっても面白かった。 まあ壊れたところもあるのだけれど、作者本人も再出版時に手を入れようか?と思ったが、やってみると若気の至りが消えてつまんなくなっちゃった、だから一言一句変えなかったよ、といっている。そういう若さの勢いを感じさせる良い作品。集英社『もうひとりの自分』で読了。2025/05/12
ゆりっぺ
0
1999年6月6日
nukuteomika
0
グレアム・グリーンの初商業出版作。密輸入仲間を密告して売った青年の仲間や社会からの逃亡を図るが、ある女性との出会いをきっかけに反撃に転じる。しかし運命は残酷な結末を与える。訳者の言うとおりあまりにも作りものめいた悲劇であるが、それゆえに久しぶりにストレートに胸に迫るものがあった。2010/09/09