出版社内容情報
英国のストーンサークルで続発する焼殺事件。犯人はなぜ被害者の体に停職中の警察官の名を刻んだのか? 英国推理作家協会賞ゴールドダガーを受賞、新鋭のシリーズ第一弾。
内容説明
英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。犯人は死体を損壊しており、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻みつけられていた。身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。しかし新たに発見された死体はさらなる謎を生み、事件は思いがけない展開へ…英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールド・ダガー受賞作。
著者等紹介
クレイヴン,M.W.[クレイヴン,M.W.] [Craven,M.W.]
イギリス・カンブリア州出身の作家。軍隊、保護観察官の職を経て2015年に作家デビュー。2018年に発表した本作で、英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールド・ダガーを受賞した
東野さやか[ヒガシノサヤカ]
上智大学卒、英米文学翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
663
ようやく読了。期待通りには楽しめた。主役コンビのキャラも良く、適度にウィットに富んだ読みやすい文章で、捜査が進展しない前半も退屈しない。手掛かりを掴んで物語が動き始めてからは更にリーダビリティが上がる。難点もいくつかあり、被害者の身体にポーの名前が刻まれていた理由は、流石にやりすぎであり不自然。意味ありげに登場するパーコンテーションポイントも、それをアピールする必要性/説得力に欠ける。カリン・スローターのような、眼を惹く部品がまず先にありきで、大枠をそこにこじつけていくタイプの作家の匂いがする。2020/12/09
Kircheis
645
★★★★☆ ワシントン・ポーのシリーズ第1作目。 カンブリア州に点在するストーンサークルで老人が次々に殺される事件が発生し、停職中だったポーに復帰命令が出る。天才だが超世間知らずなティリーが魅力的で影の主役だと思う。 犯人はポー達が睡眠薬で眠らされた時点で分かった。スウィフトが犯人じゃなければ残りは一択だ。 ゴールドダガーも納得の素晴らしいミステリだったが、幾つかのエピソードが未解決のままでもどかしい。もちろん次作以降への布石なので、シリーズを追いかけること決定!2024/04/24
青乃108号
493
イギリス各地のストーンサークルで次々見つかる焼死体を巡る物語。捜査にあたるのは過去に傷を持つポー。味方は同僚からの苛めを受けているオタク女子ブラッドショー。彼女の卓越した分析力を生かし事件と犯人を追いつめて行く。次々に判明する新しい事実が新しい謎を呼び物語の行き先がなかなか見えないので、どうしても先が気になりつい夜更かししてどんどん読んでしまう。人間の暗い面が様々あばかれ、だんだん嫌になってくる。しかしだからこそ最後にポーの選択した行動に胸がすく思いを味わえる、これは素晴らしい作品だった。続編も読みたい。2022/12/15
パトラッシュ
465
意外な発端と謎の連続殺人、微細な手がかりの点在に予想外な動機と本格推理に求められる全ての要素を満たした一級品のミステリ。600頁近い大作だが翻訳も読みやすく、エンタメとして合格点に達している。勘を重視する行動派刑事のポーとデータ大好き引きこもり系分析官ティリーが助け合い推理するバディ型はハードボイルドが通用しにくい21世紀の警察小説のあり方を示すし、犯行動機でも厳然たる身分差が残る英国の暗黒面を思い知らされる。ゴールド・ダガー賞も当然だが、英国社会を知らなければ面白さが完全には理解できないのも事実だろう。2021/04/03
stobe1904
416
【ゴールド・ダガー受賞作】イングランド北部カンブリア州のストーンサークルで猟奇的な連続焼殺事件が起きた。型破りな刑事ワシントン・ポーと、頭脳明晰だがオタクな分析官のティリーが直感と分析力を頼りに徐々に事件の真相に迫るところまでが前半で、後半は犯人の思惑通りに事件の幕引きがなされていく。原題は後半部分を意味していると思うが、邦題は前半部分となっているところに違和感が残った。ミステリとしては特にサプライズや大きなヒネリはないが、ポーとティリーのキャラが抜群に面白いミステリにしていると思う。★★★★☆2021/03/14