出版社内容情報
密室状況で見つかった女性の死体と、警視正爆殺事件。二つの事件の関係とは? ショーン自身の物語も大きく動くシリーズ最新作。
内容説明
北アイルランドにある古城の中庭で女性の転落死体が発見された。事件当時の現場は、城門は固く閉ざされ、城壁を乗り越えない限りは中に入ることができない完全な密室状態だった。さらに、事件の捜査に臨むショーン・ダフィの元に警察高官が爆殺されたという連絡が入る。彼はIRAの手によって殺されたというが…。ショーンの人生に大きな転機が訪れるエドガー賞受賞のハードボイルド警察小説第五弾。
著者等紹介
マッキンティ,エイドリアン[マッキンティ,エイドリアン] [McKinty,Adrian]
イギリス北アイルランドのキャリックファーガス生まれ。オックスフォード大学で哲学を学んだのち、様々な職業を経て、2000年ごろから小説執筆を始める。2003年に刊行したDead I Well May Beで長篇作家デビュー。同書で英国推理作家協会(CWA)賞スティール・ダガー賞にノミネートされる。『レイン・ドッグズ』でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀ペイパーバック賞を受賞した
武藤陽生[ムトウヨウセイ]
英米文学・ゲーム翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
121
ショーン・ダフィーのシリーズで1番良かった。北アイルランドの紛争は味付けに過ぎなくなっているが、1987年と言えば、ペレストロイカが始まり、数年後にはベルリンの壁がなくなりEU拡大に向かう直前であり、、EU拡大と国際状況の変化に北アイルランドも巻き込まれないわけにはいかないのだろう。職に忠実でたんたんと仕事をする軍隊経験者が複数出てきたが、みな、恐ろしい男たちであると同時に魅力的でもあった。海軍の方がメインなのだろうな。イギリスだもん、もちろん。2022/08/03
buchipanda3
108
シリーズ5作目。暴動やテロが日常化していた80年代のベルファストを舞台とした警察ミステリ。ショーン・ダフィ警部補の気骨あふれる活躍を今作も堪能した。当時の音楽ネタも良いね。冒頭、いきなりへこんだダフィ。あんたにはBMWとバッチがあるじゃないか。そんな彼を悩ませたのはお城で発生した密室事件。やがてそれは他の事件と不可解な繋がりを見せる。何よりそのカギとなったのはダフィの心理の隙を突いたもの。それはあの場面から始まっていた。締め括りはシリーズらしいと思ったら何と~。ショーン達が良い関係を築けることを願って。2022/07/26
のぶ
100
シリーズも5作目になるので、アイルランド地方の特異性にも慣れ、すんなり物語に入り込む事ができた。ストーリーも斬新で、マンネリになる事なく楽しむ事ができた。塀に囲まれた密室状態の古城で発見された女性ジャーナリストが不慮の死を遂げる。当初、城の状況から自殺と判断されたが、ダフィーは違和感を持って捜査を続行。やがてダフィーの知り合いでもある警視が爆殺される事件が・・。無関係に見える2つの事件は関係があるのか?ダフィーの魅力もあって興味深い内容でした。本作もシリーズとして裏切らない仕上がりだった。2022/01/11
ずっきん
83
ショーン・ダフィシリーズ5。前作『ガン・ストリート・ガール』からの骨太リリカルが全力全開。当時未来が無いと云われた曇天の街で炸裂するサーカズム。ああ、ツボど真ん中。どんな場所でも人はタフに生きていく。本格の匂いをスパイスに、ショーンの愚痴を読む感じがたまらない。情けないほど人間臭くて、しかもセンス上々で、読む方も笑ったり、眉をしかめたり、終いにゃうっとり溜息。クラビーの立ちっぷりとローソンの育ちっぷりも彩りをそえるどころか立派に大輪。武藤氏は次作の翻訳を終えたもよう。今年中にまた会えるのかな。待ち遠しい。2022/01/28
Panzer Leader
82
シリーズが進むにつれ北アイルランドの陰鬱な空気が薄れた雰囲気となったが、話としては今までで一番読み応えあり。面白さの一番の要素はダフィの人間味あふれるキャラ。こうなったらどこまでもついていきます。思わぬラストにも驚き、ダフィ達の未来に幸あれ!2022/05/26