内容説明
内なる黒い衝動を抑えきれない長男ジャンと、新聞社で働きながらある事件を追う次男フランソワ。末っ子のエレーヌは自分の道がなかなか見つからない苛立ちを募らせていた。それでも、一家は形だけでも平穏を保っていた。だが、サイゴンのインドシナ両替局に勤務するエティエンヌが国家的スキャンダルに巻きこまれたことで、幸せだった家族全員に驚くべき災厄が降りかかっていく…。〈栄光の時代〉シリーズ、堂々の開幕。
著者等紹介
ルメートル,ピエール[ルメートル,ピエール] [Lemaitre,Pierre]
1951年、パリ生まれの作家、脚本家。2006年にカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第1作となる『悲しみのイレーヌ』でデビュー。2011年に発表したシリーズ第2作『その女アレックス』は、英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞に輝いたほか、日本でミステリ・ランキング一位を独占し、ベストセラーとなった。2013年に発表した初の文芸作品にして〈災厄の子供たち〉3部作の第1作『天国でまた会おう』(ハヤカワ文庫刊)は、フランスで最も権威ある文学賞であるゴンクール賞およびCWA賞インターナショナル・ダガー賞を受賞
平岡敦[ヒラオカアツシ]
1955年生、早稲田大学文学部卒、中央大学大学院修士課程修了、フランス文学翻訳家、中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よもぎだ
14
読み終えた瞬間から続きが気になる作品。私自身がルメートルファンであるため、とても客観的な感想は言えませんが最初から最後まで激動の家族物語であり、理不尽に塗れた世界で歪んだ想いが奇妙に繋がる稀有な作品と感じました。エティエンヌ、レイモンの扱いが酷だなぁと感じつつも家族の中には常にエティエンヌがおり(どう考えても)ばらばらな家族が一つに結ばれているのも本作の良さだなと。仏作家が海外を舞台にする作品を描く敷居の高さは勿論、参考書籍の幅広さにも圧巻されました。次作で毒妻がどうなるか期待大。2025/06/25
Ryo0809
4
サイゴンでの三男坊の悲劇に否応なく巻き込まれる一家。長男ジャンの犯罪や父母の過去…。妖しく蠢く司法当局や黒幕。下巻は犯罪モノの色彩を強く打ち出しながら、立ち向かう母の姿に惹きつけられた。<栄光のシリーズ>と銘打った連作の幕開け作品らしいので、今後の展開が楽しみである。2025/06/21