出版社内容情報
第一次世界大戦から心身に傷を負って生還した、対照的な二人の青年。しかし世間の風は冷たく……
内容説明
1918年11月、休戦が近いと噂される西部戦線。上官プラデルの悪事に気づいたアルベールは、戦場に生き埋めにされてしまう!そのとき彼を助けに現われたのは、年下の青年エドゥアールだった。しかし、アルベールを救った代償はあまりに大きかった。何もかも失った若者たちを戦後のパリで待つものとは―?『その女アレックス』の著者が書き上げた、サスペンスあふれる傑作長篇。フランス最高の文学賞ゴンクール賞受賞。
著者等紹介
ルメートル,ピエール[ルメートル,ピエール] [Lemaitre,Pierre]
1951年、パリ生まれの作家、脚本家。2006年にカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第一作となる『悲しみのイレーヌ』でデビュー。2011年に発表したシリーズ第二作『その女アレックス』は、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞、英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞に輝いたほか、日本では『このミステリーがすごい!』、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」、本屋大賞(翻訳小説部門)などのランキング一位を独占し、ベストセラーとなった
平岡敦[ヒラオカアツシ]
1955年生、早稲田大学文学部卒、中央大学大学院修士課程修了、フランス文学翻訳家、中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
442
上巻はややスローペースに感じた。復員までは病院のシーンが多く、かなり地味。エドゥアールが設定上、ほとんどしゃべらないのと、アルベールの優柔不断な性格もあって、主人公視点のパートが一番退屈というのが大きい。逆に一番面白く読めたのが、プラデルのパート。彼が登場すると、物事の動きも早く、起伏も出てくる。こういう、わかりやすい悪党は物語の良いスパイスだ。彼が追悼墓地建設に食い込んでいく様や、棺のコストカットを企む場面が、結局一番印象に残った。マルセルも徐々に存在感が大きくなって、下巻での期待値は高い。2019/04/05
ヴェネツィア
418
ミステリー作家として出発したルメートルの純文学作品。ゴンクール賞を受賞している。ルメートルは、作家としての出発も異例の遅さだったが、この受賞もまた極めて異例だ。作家が選んだのは第一次大戦の末期から戦後にかけての時期。我々にはあまりピンとこないが、ヨーロッパでは第一次大戦の記憶は重い。大尉となって凱旋したブラデル。大きな傷跡を顔に残したエドゥアール。そして、多くのものを失った語り手のアルベール。それぞれの戦後が語られてゆくのだが、この先の展開は全く予想できない。戦争の残した欺瞞が語られてゆくのだろうか。2016/08/31
青乃108号
215
カミーユ刑事シリーズでお馴染み、ピエール・ルメートルの何とミステリーじゃない文芸作品。とは言えさすがルメートル、冒頭のフランス軍対ドイツ軍の激しい戦闘場面からいきなり物語に引きずり込まれる。以降も緩急自在の職人芸ともいうべき筆致で、終戦後のフランスのカオスにまみれた群像劇を展開してくれて、上巻の最後まで読んだところでこの先どうなるのか、あの人は、この人は、許せんあいつに天罰は下るのか、そしてあの計画は。全く予測不能である。しかしそこはルメートル、決して期待を裏切る事はないはず、と信じて下巻に進む。2023/12/20
KAZOO
159
これはルメートルの作品ですが、ミステリーではないと思われます。フランスの第一次大戦中から戦後の二人の青年の生きざまを描いている小説です。どんなところにでも結構悪人とはいるもので、その悪事に対してこの二人の青年がどのような行動をとっていくのか、ゆったりとした筆致で楽しませてくれます。ミステリーとはあまりいえないのでしょう。若干イメージ的にはジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」を思い出しました。 2016/04/27
ゆいまある
115
「その女アレックス」のピエール・ルメートルと聞けば読まずにいられない。第一次世界大戦末期のフランス。歴史が苦手でも大丈夫。純然たるエンタメ小説。登場人物は少なく、キャラが立ってて、次々予想を裏切る展開がやってくる。寝る間も惜しんで貪り読む。今から読もうと思う人は、ネタバレサイトもレビューも一切読まずにまずは身を投じてみてください。下巻へ!2019/02/24
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