内容説明
福祉大国デンマークで社会制度の甘い汁を吸う女たち。あの手この手で補助金を不正受給する彼女らへの憎悪が限界に達したソーシャルワーカーのアネリは、轢き逃げ計画を実行する。一方、新旧双方の事件の関連性を捜査するQのカールとアサドのコンビだが、とうとう失踪してしまったローセのことも放ってはおけず…。同時進行するバラバラの事件にQはどう立ち向かうのか?北欧警察小説シリーズの最高峰。
著者等紹介
エーズラ・オールスン,ユッシ[エーズラオールスン,ユッシ] [Adler‐Olsen,Jussi]
1950年、コペンハーゲン生まれ。10代後半から薬学や映画製作などを学び、出版業界などで働く。1985年からはコミックやコメディの研究書を執筆。その後フィクションに転じ、シリーズ第1作『特捜部Q―檻の中の女―』(2007年)がベストセラーとなった。シリーズ第3作『特捜部Q―Pからのメッセージ―』(2009年)で北欧ミステリ賞の最高峰である「ガラスの鍵」賞、シリーズ第4作『特捜部Q―カルテ番号64―』(2010年)はデンマークの文学賞「金の月桂樹」賞を受賞した
吉田奈保子[ヨシダナホコ]
1974年生、立教大学文学部ドイツ文学科卒、ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
68
あー昏い。。と思いつつ読ませる。終えてみればいつもながらの社会福祉先進国の黒歴史。甘い汁を吸いたがる頭の黒い蟻VS毅然❓たる職員。その底流にローセと父の軌跡がオーバーラップ。デンマーク等北欧諸国、ロシアの映画を見ると教科書に載ってこなかったナチスとの困難と苦悩の闘争が見えてくるのが興趣ある。デニスの祖父とアネリ・・共に狂気の正義を求めたところが重なって行った。自撮りの意が最後までなかなか掴めなかったがあと書きの解説に有る「己を自省する」とあり、納得。挿入されるアサドの内側の事象が濃い。2021/03/06
ひで📚🏈
44
詰め込み過ぎいじゃない???と心配になるくらい4件の事件がうまくまとまるもんなんですねぇ(笑)「アネリに何時になったら辿り着く?」等と若干イライラしましたが(笑)ついに明らかになるローセの過去・・・自分を取り戻して復活するローセに次回期待です!次作以降は・・・ついにアサドの過去・秘密が明かされるフェーズにはいるのか?ゴードン君の成長にも期待!2020/02/10
hanchyan@理解はできないが否定もしない
43
「あ~もう!カール!そこだよそこ!」っていう(笑)。緊張と弛緩、さらに高まる緊張。複数の捜査が同時進行し「錯綜するプロットが一つに収斂する」。これって近頃わりと見聞きするようになったけど、よくよく考えてみればものすごく高度な作劇法なわけで、緩急&硬軟自在な吉田氏の訳と相俟って間然するところなし。このシリーズはやっぱスゲえ。福祉の列に並ぶ側と受け付ける側、真逆の立場にあり世代もかけ離れた女子たちの、自暴自棄な明日なき暴走。とてもとても面白かった。正月休みになんも考えず思いっきり楽しむのにうってつけ。2020/01/01
かめりあうさぎ
33
読了した瞬間…「次が読みたい!!でもこれが最新巻?うそー!」でした。殺人事件の方はきれいに片がついて、そっちだけでも背景設定などが好みで十分面白かったのですが、そこにローサのことも同時に進行していてとんでもなくハラハラしました。シリーズの中で一番面白かったかも。ネタバレしたくないのでちょっとこれ以上は書けませんが、シリーズ第7弾にして面白さが加速するというのは結構珍しいかなと思います。今後も目が離せません。2020/07/20
鴨ミール
32
上下巻を通してとても読み応えのある小説でした。無駄な部分がほぼ無い。だから1頁1頁ちゃんと読まないとわからなくなる。特に北欧の方の名前にいつも苦戦する。ローセが不憫でならなかった。こういう父からは母に守ってもらいたいが、それがされなかったことが余計彼女を傷つけたと思う。特捜部Qのチームがまとまっていて良かった。2024/10/18