内容説明
期せずして陰謀の証拠を手にしていた平和活動家ペネロペは、暗殺者に狙われ決死の逃亡を図る。一方リンナ警部は、多くの関係者の死に、国際関係を揺るがす「パガニーニ契約」が関わっていることを突き止める。「その人物にとって最悪の悪夢」を担保に最高の報酬を約束するこの契約は、今やパルムクローナ長官の後任者を巻き込もうとしていた―。スリルと美麗な描写が融合した、スウェーデン小説の常識を破るサスペンス。
著者等紹介
ヘレンハルメ美穂[ヘレンハルメミホ]
国際基督教大学教養学部人文科学学科卒、パリ第三大学現代フランス文学専攻修士課程修了、スウェーデン語、フランス語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
97
あっという間に読み終えた下巻。前作よりも映像化しやすそうなアクションも満載の展開。この作家ご夫婦、普段は文学とか書いてらっしゃるようですが、たった2作でこんなにこなれたミステリーを書けるなんてすごいとしか言いようがない。今回の登場キャラは前作よりも良かった印象。特にアクセルのようなオジサマは個人的には魅力的な存在である(笑)。そして、ヨーナ・リンナのところに許して戻って来て欲しいディーサ。次作も楽しみです。2020/05/10
キムチ
53
下巻の回収手際はさすが、お見事。このペンネームで夫婦で執筆してるからか。ヨーナ警部のスマートさをどうしてもヴァランダー警部と比べる〜後者が大好きだから。軍配も後者。閃きぶりには魅力が薄い。下巻ではプロの殺し屋の凄みが炸裂。こうなるとサスペンスと云うより、米映画のスクリーン。余り好みじゃない。原題パガニーニ契約が持つ意味の解明だけ、愉しませて貰ったけどね。武器輸出において、スウェーデンの大国ぶりはおどかされるけど、隣国フィンランドの対比が見えない。当事国作家の文章で知って行きたいなと思わされた。2019/01/15
reo
35
2009年3月、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)は、スーダンのオマル・アル=バシール大統領がダルフール地方の大量虐殺に直接関与したとして逮捕状を発行した。以来、弾薬供給はすべて止められた。ところがその8か月後の11月武器エージェント、グイディとスーダン大統領軍事顧問アガテ・アル=ハジ、軍需品製造会社社長サルマンと「上巻」で自殺したバルムクローナ長官の4人が秘密裏に会っていた。長官の後任リーセンは長官の自殺で滞っていた弾薬輸出契約の責任を負わされることに。これが悪魔の契約に他ならなかった。重厚で面白い!2020/07/25
鴨ミール
34
武器の売買については、知識もなく関心もない。音楽を絡ませてきて、読ませる展開にはなっている。2024/06/27
GaGa
34
スウェーデンが軍需兵器輸出上位国だというのを初めて知った。また、この国には警察組織がいろいろあるが縦割りではなく融通がきき、さらに役人のポストの重要さの割に警護がついていないことも(政治家の立ち位置はどうなのか?)いろいろ強引で煩雑な気がするけれども、前作「催眠」同様に最後までハラハラさせて読ませるんだよなあ~不思議。「催眠」の映画化が決まったそうだが、映画化に向いているのはむしろこちらの方かも。2011/08/28