内容説明
天才的犯罪プランナーにして職業的窃盗の第一人者ジョン・ドートマンダー。彼こそ、難攻不落のターゲットを狙い、だれも考えつかないような奇想天外の作戦計画を樹立する不世出の大泥棒…のはずなのだ。だが、どういうわけかその計画が予定通りに運ぶことはまずない。うまく運んでいると思っても、必ずや不幸の連鎖が襲いかかってくるのだ。泥棒稼業はつらいよ。世界一不幸な男、哀愁の中年泥棒ドートマンダー奮闘記。
著者等紹介
ウェストレイク,ドナルド・E.[ウェストレイク,ドナルドE.][Westlake,Donald E.]
1933年、アメリカはニューヨークのブルックリン生まれ。1960年、『やとわれた男』で長篇デビュー。ハードボイルド・タッチのクライム小説からユーモア・ミステリへと作風を変えつつ、多くの長短篇を発表。なかでも不幸な泥棒ドートマンダーのシリーズは何度も映画化され、人気を誇る。同時に、リチャード・スターク名義で「悪党パーカー」シリーズを発表し続けるなど、ながくアメリカ・ミステリ界の第一人者として活躍。また映画等の脚本も手がける才人でもある
木村二郎[キムラジロウ]
作家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
89
ジョージさんよりお招き頂いたイベント・初のウェストレイク作品。栗本薫さん『グイン・サーガ』のイシュトヴァーンが「災いを呼び寄せる男」なら、中年泥棒ドートマンダーは「災難を招き寄せる男」(笑)相棒ケルプと、地下から銀行金庫室の壁を破って侵入すれば、すでに機関銃装備の強盗が。人質の銀行員からは刑事と間違われ、強盗には人質代表?として警察との交渉役に指名されるドートマンダー(悪党どもが多すぎる)タナボタで手に入れた30万ドルのブローチ。故買屋へ持ち込むための偽装とはいえ、マヨネーズたっぷりのハムサンドの中に→2014/07/07
nuit@積読消化中
83
【ドナルド・E・ウェストレイク誕生日読書会’17(7月1日~7月12日) 】にて哀愁漂う中年泥棒ドートマンダーに出会いました!ユーモラスで軽妙な語り口!さすがベテラン作家ウェストレイク。ウェストレイクの主人公ドートマンダーへの愛着も感じられる著者解説もあり満足の一冊です。こちらは短編集でしたが、長編の方はロバート・レッドフォード主演で70年代に映画化されていたりと面白そう。誰も傷つかない&殺さないのスタンスが素敵。お気に入りは「馬鹿笑い」「悪党どもが多すぎる」「パーティー族」です!2017/07/07
sin
67
さすが《プレイボーイ》に掲載されるだけあって、軽妙で洒脱なそのストーリーはどれも見事なものといえるのだが、逆に盗人のそのやけに洒落たやりとりが鼻につくのも確かではある。だがしかし、時折案外とセコイ一面を見せるところはご愛嬌だ。「馬鹿笑い」はシュール。「今度は何だ?」の畳み掛けてくる災難の意外性はコミカルで楽しめる。巻末の「悪党どものフーガ」は《プレイボーイ》のヒトコマ漫画でおなじみ、いわゆる“間男”ネタの変形ともとれるコメディ。【ドナルド・E・ウェストレイク誕生日読書会’18(7月1日~7月15日)】2018/07/13
aquamarine
37
イベント<ドナルド・E・ウェストレイク誕生日読書会>に参加しました。最初は翻訳が合わなかったのかとても読みづらかったのですが、泥棒ドートマンダーの人となりと必ずと言っていいほど災厄に見舞われることを理解するころにはすっかり世界に入り込んで楽しんでいました。彼は運が悪いだけで頭はいいんですよね。周囲のキャラも立っています。好みはトンネルを掘って銀行の金庫に潜り込んだらそこにいたのは人質だったという「悪党どもが多すぎる」これでもかと災難が次々降ってくる「今度は何だ?」。シリーズの長編も読んでみたくなりました。2014/07/08
Panzer Leader
34
「不運な天才泥棒」「天才的犯罪プランナー」「哀愁の中年泥棒」「不運を呼び寄せる男」とやたら枕詞が豊富なドートマンダー(別名ディダムズ)の短編集。いやー、楽しく読めました。ほぼ全編面白いけどエドガー賞を受賞した「悪党どもが多すぎる」は出色の出来。短編集だからか仕事は成功しているラストが多い。でも本領は完璧な犯罪計画を立案しながら段々と破綻していくのが持ち味だからこれは長編でなければ楽しめないなあ。2016/02/06