内容説明
失踪中の辣腕弁護士が射殺死体で発見された。被害者の息子ワークは、傲慢で暴力的だった父の死に深い悲しみを覚えることは無かったが、ただ一点の不安が。父と不仲だった妹が、まさか…。愛する妹を護るため、ワークは捜査への協力を拒んだ。だがその結果、警察は莫大な遺産の相続人である彼を犯人だと疑う。アリバイを証明できないワークは、次第に追いつめられ…。スコット・トゥローの再来と激賞されたデビュー作。
著者等紹介
ハート,ジョン[ハート,ジョン][Hart,John]
1965年、ノース・カロライナ州に生まれ、現在も同州に在住。幼少期を本書の舞台となったローワン郡で過ごす。デイヴィッドソン・カレッジでフランス文学、その後大学院にて会計学と法学の学位を取得した。会計、株式仲買人、刑事弁護などさまざまな分野で活躍したが、やがて職を辞し、作家を志す。一年間図書館にこもって執筆した『キングの死』が、デビュー作とは思えない高いクオリティが多くの出版社に注目され、争奪戦が勃発。発売後も全米各紙誌で絶賛され、新人としては異例のセールスを記録した
東野さやか[ヒガシノサヤカ]
上智大学外国語学部英語学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
57
「川は静かに流れ」が良かったので、デビュー作のこの作品も読むことにしました。デビュー作でこれとは、作者は只者ではないです!物語の序盤では主人公の優柔不断さにイライラさせられましたが、最後まで読むうちにはだんだんに心優しい彼の魅力がわかってきて気分良くラストが迎えられました。この作者は家族の確執を書かせたら天下一品です!巧いからこそ、読んでいてかなり暗い気持ちにはさせられてしまうんですが、それでもまた他の作品もチャレンジしたいです。2011/02/13
タツ フカガワ
50
弁護士のワークが、一代で財を築いたやり手弁護士の父エズラの他殺死体発見の報を聞いたのは、エズラが行方不明になって1年半後のことだった。ワークにはある人物が犯人像として浮かんでくるが、警察は莫大な遺産を相続するワークを容疑者としてマークする。警察はもとより、肉親からも妻からも追い込まれていく男のミステリーは、ジョン・ハートのデビュー作。じつは全体の四分の一ほどまでなかなか物語に入っていけなかったのですが、これ以降どんどん面白くなってきて、終盤の展開に読む手は止まらず、エピローグに癒やされた一冊でした。2022/12/14
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
27
横暴な父親の死をめぐる殺人の捜査。弁護士である息子は嫌疑をかけられて、事態はどんどん悪くなるばかり。彼はある理由から罪をかぶろうと思うのだが、腑に落ちない事実がいろいろ。ドロ沼化した日常。ここから出られるのか本当に疑わしくなってラストを途中で読んでしまった。最後まで見捨てないでいてくれた友人達に免じて私も最後まで読んだよ。2016/11/29
たち
25
歪んだ支配欲に取りつかれた父親の犠牲になった、ワークとジーンの兄妹がとても痛々しいです。その父親が遺体で発見され、ワークは容疑者にされ、大変な目にあいます。ですが、今まで父の言いなりだった彼は、この世で何が一番大切か、誰が本当に必要な人か、はっきりとわかった事は、けっして無駄ではなかったと思います。2017/01/07
紅はこべ
19
この主人公、弁護士にしては思い込みが強過ぎ、柔軟性に欠け、想像力が乏しく、融通が利かない。弁護士に不向きなのでは?ジョン・ハートの小説を読むたびに思い知らされるのは、アメリカ人男性が人生に求めているのは、強い父親像だということ。所詮父権社会の国なのだ。だから銃が好き。2008/10/11