ハヤカワ・ミステリ文庫
市民ヴィンス

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  • サイズ 文庫判/ページ数 470p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784151766510
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

しがない街のしがないドーナツ屋店主、ヴィンス・キャムデン。まっとうな暮らしを望みつつも、裏稼業のカード偽造と麻薬の密売をやめられず、汚れた金にまみれていた。そんなある日、事態が一変した。何者かがヴィンスの命を狙い始めたのだ。四年前のあの忌わしい事件が関係しているのか?暗い過去を清算すべく、ヴィンスは街を出るが…新鋭が読書界にその名を知らしめたアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。

著者等紹介

ウォルター,ジェス[ウォルター,ジェス][Walter,Jess]
ワシントン州スポーケン生まれ。イースタン・ワシントン大学卒。ノンフィクションEvery Knee Shall Bow(1995)で作家デビューし、その後、小説『血の奔流』(2001)を執筆。2005年に発表された『市民ヴィンス』によって、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞し、一躍注目を浴びる。2006年には最新作The Zeroを発表した

田村義進[タムラヨシノブ]
1950年生、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

76
図書館で偶然手に取る。証人保護プログラムで名前や経歴を消した、元詐欺師の主人公は小さな町でドーナツ屋を経営していたのだが、彼を追う影に気がついた…… 小説デビュー作になるそうで、なかなか読ませる筆力。どう話が転ぶのか予測がつかず最後まで楽しめた。アウトローだと大統領選挙権がないので、まっとうな市民になろうとする主人公には大統領選挙は重要な項目なのだろうが、馴染みがないのでピンと来なかったのは確か。海外ミステリ好きには推薦。良書。2018/08/25

藤月はな(灯れ松明の火)

21
しがないドーナッツ屋で偽造カード作りや麻薬の転売などをしているが御人好しのヴィンスは「天神の隣」などに登場する鏑木みたいです。舞台はレーガンかブッシュかで争っていた大統領選挙時。証人保護プログラムで過去を捨てた筈のヴィンスにギャングが付き纏っている。危機を感じた彼は警官、デュプリーやかつての関係者を手を借りて理由を探る。大切な「何か」が足りないと思っていた彼が選挙権を渇望していた理由やべラとの生活の可能性を語る姿が切ないです。「100万の死に様」のように慎ましやか且つ猥雑に生き抜く市井の描写が細やかです。2013/03/19

hikarunoir

11
「グッドフェローズ」におけるヘンリーのその後というか、「ヒストリー・オブ・バイオレンス(健さんの『夜叉』?)」的な趣も湛えていながら、詐欺による証人保護プログラムを受けつつも、マフィアや粗暴犯の様な、王道の筋者というわけではなく、結局、元知能犯なりに、己が立場を脅かされ出し抜かれた結果には、己の流儀で落とし前をつける様は痛快。漏れ出る犯罪者テイストをミュートしようと奮闘する様子が笑える。2007/06/20

mejiro

6
テンポがよくリズミカルで読みやすい。主人公が小悪党ながら魅力的。登場人物たちに存在感がある。人生に真剣に向き合おうとする人間を描く渋い物語。2015/02/12

himehikage

6
本の真ん中くらいまでは、大したことないと思っていた。しかし、これがなかなかどうして! しゃれたユーモアと新鮮な味わいのある小説だったのだ。コーエン兄弟で映画化希望。2007/04/15

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