内容説明
丘陵地帯の奥深く、犬が咥えてきたのは少年の骨だった―20年前に殺された少年の無念をはらすべく、ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュは調査を始めた。まもなくボッシュは現場付近に住む児童性愛者の男に辿りつくが、男は無実を訴えて自殺を遂げる。手掛かりのない状況にボッシュは窮地にたたされ…深い哀しみを知る刑事ボッシュが、汚れきった街の犯罪に挑む。ハードボイルド界屈指のベストセラー作家が放つ感動作。
著者等紹介
コナリー,マイクル[コナリー,マイクル][Connelly,Michael]
1956年フィラデルフィア生まれ。フロリダ大学卒。ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュを主人公にした『ナトイホークス』(92)で作家デビューし、同書でアメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)最優秀新人賞を獲得。ボッシュ・シリーズは多くの読者の支持を得て、現在シリーズ第10作となるThe Narrows(2004)まで書き継がれている
古沢嘉通[フルサワヨシミチ]
1958年生、1982年大阪外国語大学デンマーク語科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
476
【原書】子どもたちの隠れた遊び場にもなっていた小高い森のなかで、古い人骨が発見された⁉️ 先が気になって、飛行機待ちの合間に一気に読み切った。犯人探しの二転三転は相変わらずの妙味だが、捜査の過程で人が死んだり、いろいろ後味が悪い。ラスト、雨に濡れたボッシュが寂しすぎる、オトコマエすぎる。こんなオトコならオンナは惚れるわな。そしてコナリーは、最後に大きな爆弾を落として物語を閉じ、われわれ読者を置き去りにした。実際に読んだのは:https://bookmeter.com/books/115835632019/06/17
Tetchy
149
原書刊行は2002年。NYの同時多発テロの翌年だ。3000人もの人が瓦礫に埋もれて亡くなったテロ事件。そんな大量死の事件を経たからこそ、30年前に埋められた身元不明の少年の死の真相を探る事件が敢えて書かれたのではないか。いわば一己の人間という尊厳が失われる大量死が実際に起きたからこそ、敢えて名もない少年の素性を探り、そして隠された真実を追い、犯人を捕まえることがその少年の尊厳を守ること、そして名を、人間性を与えることになるからだ。コナリーはそんな人たちへの鎮魂歌として本書を書いたのではないだろうか。2018/08/21
ケイ
145
ボッシュシリーズ⑧ 刊行順に読み直していて、ようやくここまできた感じ。ボッシュのロス警察人生が何が原因で変わったのか忘れてしまっていたが、まさかこうだったとは。やはりコナリーは順によむべき作家だなと改めて思う。毎回女性が出て来るから、今回も彼の相手として新米の成熟した女性警官が必要だったのかもしれないが、ここだけ浮いて見えないこともない。シリーズが続いてきても、その面白さは衰えるどころかますますページをめくる手が速くなった。その中でも最初の老女の自殺?シーンからの入りと最後のボッシュの行動とが最高だった。2018/02/18
KAZOO
68
ボッシュシリーズの第8作目です。20年前の事件を解決すべくあらゆる障害をものともせずに解決に邁進していく、というボッシュの基本的な方向性は維持されています。この事件解決でもって刑事稼業をやめることになります。この事件の物語を読んでいて最近の未成年が行った実際の事件を思い出してしまいました。ここで一段落して新しい段階に入るのでしょうね。2015/03/12
bianca
60
エンディングの絶望感。ここ何作か不幸だけど、そこそこいい感じだったボッシュ。本作では家庭を持つ相棒エドガーへの配慮なのか、単独行動が目立つ。日々の事件にも事欠かないLAにおいて、20年前の殺人事件を執拗に追い続ける。骨が散らばる姿を街に譬えたタイトル同様、多くの悪の上に出来上がった街、LA。出来る限りの悪を取り除きたいという彼の純粋な気持ちが痛いほど良く表現されているのだが、行動すればするほど“クソ引き寄せ磁石”と呼ばれてしまったりして…。周りが不幸になるのはやはり定めか。前半は「BONES」っぽい。2017/01/16