内容説明
銀行から不正な手段で大金を手に入れたスティーヴは、生まれ故郷のアイルランドを独り発った。愛する恋人と亡き友の思い出を置き去りにし、“自由の国”へ向かって。だが、アメリカ人になりすまして身を隠しつつ逃亡するスティーヴには、知るよしもなかった。親友を惨殺したIRAの殺し屋と異常殺人鬼が彼のあとを追っているということを…大切なものを次々と失ってゆく男の生きざまを描き出した、哀しみのノワール。
著者等紹介
ブルーウン,ケン[ブルーウン,ケン][Bruen,Ken]
1951年アイルランドのゴールウェイ生まれ。アフリカ、日本、東南アジア、南アメリカでの英語教師の職を経て、1992年Funeralでミステリ作家としてデビュー。2001年に上梓した、元警官の本好き酔いどれ探偵ジャック・テイラーが活躍するシリーズ第1作『酔いどれに悪人なし』は、アメリカを始め世界各国で話題を集め、アメリカ私立探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞。2006年に発表した『アメリカン・スキン』は、ジョージ・P・ペレケーノス、ローラ・リップマン、C・J・ボックスといった著名作家らに絶賛された
鈴木恵[スズキメグミ]
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
55
新潮文庫「ロンドン・ブールヴァード」がなかなか良かったので、探して読む。しかしあっちはブルーエンの表記で紛らわしい。現代アメリカを舞台とするノワールもの。凶暴で手がつけられない登場人物が数名で実に期待させる。アイルランド人が主人公でアメリカ人そのものになろうとして、アメリカ人の仕草や言葉遣いを絶えず意識している。ストーリーは実にオフビート(定石外し)。魅力的で危険な人物たちと語り口につられて読んでいったが、展開に驚いた。常に主人公が感じる喪失感は一層やるせないものになる。おすすめ。2016/10/04
michi
1
★☆☆☆☆
hikarunoir
1
ブコウスキーまで登場する泣き笑いノワール。2009/10/19
祐ちゃん
0
愛する人を次から次へと失ってしまう哀しみ、母国アイルランドへの屈折した想い…。主人公スティーヴは、深く共鳴できる人物でした。 スティーヴが彼女を回想するシーンの一節が、胸に深く残っています。 「おれが思うに、償うことのできない罪がひとつある。よりよい人生を期待させておきながら、まったくの不注意から、それをご破算にしてしまうことだ」2014/08/27
036
0
上手く映画化したらものすごくいい感じになりそう。2012/08/31