内容説明
目も見えず口もきけない、全身麻痺のエリーズは、二年前に解決した殺人事件が小説化され、一躍有名になった。雪山を訪れた彼女に偏執的なファンから立て続けに不気味なプレゼントが届く。警察に届けたところ、麓の町で発生した惨殺事件と繋がりがあるという。彼女のファンがその殺人鬼で、彼女も狙われているのか?史上もっとも非力なヒロインが苛酷な運命に頭脳で抗う。読書界を驚嘆させた傑作本格『森の死神』の続篇。
著者等紹介
オベール,ブリジット[オベール,ブリジット][Aubert,Brigitte]
1956年、南仏カンヌ生まれ。家族が映画館を経営していたため、幼い頃から映画と小説に親しんで育つ。1992年に『マーチ博士の四人の息子』で作家デビュー。その後一作ごとに趣向を凝らした作品を連発し、人気作家の地位を確立した
香川由利子[カガワユリコ]
1954年生、京都大学大学院修士課程修了
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こぽぞう☆
21
オベールいいです。「森の死神」の続編。どの人がまともで、どの人がオカシイのか?そして誰が殺されるのか?史上最も非力なヒロイン、エリーズ。「森の死神」の時よりほんの少しだけ自由になってはいるけど。2016/05/25
Cinejazz
17
旅先で爆弾テロに巻込まれ、恋人は死亡し、目が見えず、口がきけず、聴力と左指の動き以外は全身麻痺となった女性エリ-ズが、凄惨な『森の死神』事件から二年後のこと、介護人イヴェットに付き添われ、療養先の冬のリーゾ-ト地を訪れた。雪山の麓の町で発生したホームレス惨殺事件と、エリ-ズへの殺害予告が錯綜するなか、第二、第三の連続殺人事件が、非力なヒロインを苛酷な運命の渦へと追い込んでいく…。“読書の意表を突く” なんて、型通りのもんじゃ終わらない超弩級の展開に、アドレナリンが沸点に達する、フランスの推理作家↓2025/07/01
mejiro
13
語り手がやはり魅力的。彼女を介護するイヴェットが前作以上にいい感じで、場をなごませ、主人公の右腕として活躍する。ストーリーは途中から雰囲気が変わり、あれ?と思ってからの急展開にぎょっとした。前作に比べ、過激でホラー方面に暴走してて面食らった。主人公が気の毒というか、ホラーよりミステリのほうがよかったな…。 2018/10/28
歩月るな
10
読書界の度肝を抜いた『森の死神』に続く傑作本格「ミステリ史上もっとも非力で最強にしぶとい、究極の頭脳派ヒロイン」――久美沙織(本書解説より)これが今回の帯看板である。これまでのオベール作品に対する解説の的確さと「すごい」というお手上げ気味な感想も相まって、新世紀初頭のこの時期に久美先生はこんなものを読んでいたのか、と思わされてしまう意外性がある。作品の内容は、表現上の問題があり過ぎて、ボイスドラマ化でもすれば素晴らしいだろう、としか言えない。一杯食わされたかと思えば、古典中の古典の手法を用いており、脱帽。2019/10/08
koo
7
「森の死神」の続編。エリーズは2年前の事件を作家B.A.(ブリジットオベールでしょう笑)に売り有名人になる、雪山の成人障害者施設に滞在中にヴォールと名乗る人物と出会い猟奇的殺人事件に巻き込まれるのがメインストーリーで明るくポジティブなエリーズ視点で語られるもののとにかくグロくてストーリーに集中できず、でもここまでは前作を踏襲したフーダニットぽかったんですが後半の荒唐無稽、何でもありの展開に呆然、なんだこれは、評価不能ですね。もっと相応しい作品でエリーズのアフターストーリーが読みたかったですね、問題作。2024/08/14