ハヤカワ・ミステリ文庫
変わらぬ哀しみは

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  • サイズ 文庫判/ページ数 542p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784151706622
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

1968年、黒人警官デレク・ストレンジは己れの職務をまっとうしていた。白人から罵られ、黒人から同砲を取り締まる裏切り者と蔑まれても。時代は大きくうねり、黒人はキング牧師の下、権利の拡張のため社会運動を起こしていた。その最中、黒人青年が車に轢かれて不可解な死を遂げた。警察の捜査は進まず、やがて黒人による暴動の兆しが見え始める。その時デレクは…ハードボイルドの詩人ペレケーノスが綴る時代の慟哭。

著者等紹介

ペレケーノス,ジョージ・P.[ペレケーノス,ジョージP.][Pelecanos,George P.]
1957年ワシントン生まれ。『硝煙に消える』(1992)で作家デビュー。1996年に発表した『俺たちの日』が、1998年度“ミステリチャンネル闘うベストテン”の第1位に選ばれるなど高い評価を得る。2001年に黒人探偵デレク・ストレンジを主人公にした『曇りなき正義』を発表し、以後順調に作品を出し続けている

横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生、早稲田大学第一文学部演劇学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

299
最初はエンターテインメントのつもりで読み始めたのだが、最終的にはアメリカ文学の棚に分類することにした。第1部は1959年。ペレケーノスの生年だ。主人公のデレクらはまだ少年。小説の舞台はワシントンD.C.だが、もはやそのあたりに居住するのは大半が黒人たちであり、それ以外には一部のユダヤ系とイタリア系がいるだけ。音楽(ブラック・ミュージック)を中心に綿密な時代考証がなされている。そして、第2部が1968年。キング牧師が暗殺され、公民権運動が大いに展開された年だ。それが実に圧倒的なリアリティで描き出されてゆく。2016/10/14

遥かなる想い

199
1960年代のアメリカの風景満載の本である。 黒人差別が歴然と存在した街ワシントンを 舞台に 黒人警官デレク・ストレンジの成長を 通して、時代のうねりのようなものを 描いている。 60年代のソウルミュージックが流れる中 淡々と物語は進んでいく..ベトナム帰還兵、 公民権運動、キング牧師暗殺、黒人暴動.. 登場人物が多く デレク・ストレンジが あまり見えないのが 難点だが 時代の雰囲気は 伝わる、本だった。2017/05/30

ケイ

128
いい訳文なのに、タイトルに納得いかず。原題は「Hard Revolution」 そういう話だ。D.C.に住む60年代の黒人たちの状況…住む場所で人生が、付き合う友人で運命が変わる。善き人になろうと警官になっても、同胞の黒人からも疎まれる。鬱屈した中で、頭角をあらわす声をあげる者たち。新興宗教、マルコムX、そしてキング牧師。キング牧師が亡くなった時のDCの街の喧騒、恐怖は圧巻。取り締まる警官側の恐怖も伝わってきた。ノワール好きにおすすめ。冒頭に出てくる魅力的な人物が後半にはほとんど出てこないのが残念。2016/03/07

まふ

101
ワシントンを舞台にした非アングロサクソン系白人のギリシャ人、イタリア人等と黒人の世界を描いた味のある物語。キング牧師の公民権運動、ベトナム戦争上がりの不逞白人などで騒然とした世界に志高く警官になった黒人のデレク、不良の仲間に引きずられた兄デニスの人生模様が切ない。当時警官になった黒人はごく少数であったろう。高い矜持を持ったデレクを書きたいと思う作者の気持が伝わって来る。悪漢バズとヘスが銀行を襲う場面の描写はリアル感横溢して息をのむ。素晴らしい筆力だ。一味違う警察小説だった。G1000。2023/08/10

ペグ

76
1960年代、アメリカ 、ワシントンDCの街と人々。ペレケーノスの作品の中ではいつも音楽がピタリと寄り添う。黒人の警察官デレク・ストレンジの誠実さが際立ち最後のオーティス・レディングに痺れた。わたしにとっての名作「生への帰還」をもう一度読みたい。 2018/10/28

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