内容説明
マンハッタンのアパート。父を看取った弟夫婦のもとに、医師として成功した兄が、数十年ぶりに訪ねてきた。父を見捨てられず、自分の人生を犠牲にした弟に兄が告げた衝撃の真実とは―「代価」。ニューヨークのとある部品倉庫の事務所。18歳の新人バートの“ありふれた月曜日”が、様々な人間模様とともに鮮やかに描かれる。著者の若き日を投影した自伝的作品「二つの月曜日の思い出」。傑作二篇を収録。
著者等紹介
ミラー,アーサー[ミラー,アーサー] [Miller,Arthur]
1915年ニューヨークに生まれる。ミシガン大学で演劇を学び、在学中からラジオ・ドラマの脚本を執筆。1944年「幸運な男」でブロードウェイ・デビュー。1947年「みんな我が子」で注目を集める。「セールスマンの死」(1949年)は、エリア・カザン演出で上演され、トニー賞、ピュリッツァー賞を受賞。映画脚本・小説や評論と幅広く活躍。1965~69年、国際ペンクラブ会長を務めた。2005年2月没
倉橋健[クラハシタケシ]
1919年生。早稲田大学文学部英文科卒、早稲田大学教授、演劇博物館館長を歴任、2000年5月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りえこ
17
代価の方が好みでした。アーサーミラーの作品の、内面の表しかたの繊細さが好きです。芝居として、見たり演じたりしたいと思わせる作品でした。2017/09/05
nightowl
4
代価:アパートの一室で不要な家具などを査定してもらおうと待つ警察官の弟。破産し妻を亡くして茫然自失状態だった父親の面倒を見ながら彼は過ごしてきた。そこへ訪れた鑑定士の老人や家を出たことで一見成功したかに思えた医者の兄。各人を通して見える生き方/ちょっとした一言で自分の意思を伝えたと思い込む傲慢さに気付かされる。 二つの月曜日の思い出:ある部品工場の朝。ささやなか日常が作られ始める瞬間の幸福や切なさを描くドラマ/作者の半自伝的な作品となっているせいか、お説教臭いとは感じず伝わるものがある秀作。2017/09/02
Moish
1
90年ほど前、大恐慌時代のアメリカを舞台にした2つの劇。『代価』は、一見エリートだが私生活が破綻している兄と、堅実な生活を受け入れ、家族に恵まれた弟の、本音のぶつけ合い。共感度かなり高し。『2つの月曜日の思い出』は、町の小さな事務所を舞台に、労働と夢と現実を鮮やかに切り取った群像劇。ラスト、バートの旅立ちに同僚たちが見せる反応が、衝撃的だけど納得。名作の普遍性を思い知らされた。2017/07/16
ジュリアン
0
全集版で読んでいるが、文庫版購入を機に再読。2017/06/22