内容説明
裁判が始まり、一人の娘の生涯が演じられる。無邪気な農家の娘ジャンヌは祖国を救えという再三の“声”に遂に立ち上がる。屈強な兵士を巧みに説得、軍勢を率いてオルレアンをイギリス軍の攻囲から解放し、王太子をシャルル七世として戴冠させたのだ。だが、悪魔の声に従った異端者と裁かれ、ジャンヌは一度は屈するが…。自分が自分であるため自らの運命を選び取り、凛々しく気高く生きぬいた人間の姿を描く不朽の名作。
著者等紹介
アヌイ,ジャン[アヌイ,ジャン][Anouilh,Jean]
20世紀フランスを代表する劇作家。1910年、フランス南西部ボルドー生まれ。87年、スイスのローザンヌにて没
岩切正一郎[イワキリショウイチロウ]
1959年生、国際基督教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shou
4
ジャンヌ・ダルクの関連作品の中で、一番面白みを感じたし納得もした。借り物の言葉でばかり話していたジャンヌが爆発的に自分の言葉で語りだすところ、これは舞台で観たら更に感動的なものがありそう。しかし最後の演出はなかなか難しそう。2014/05/14
すずき
3
ジャンヌが神の沈黙をあっさりと受け入れて一人の戦いに身を投じるラストがすごい。遠藤周作の『沈黙』が連想されたが、ロドリゴとは態度が正反対だ。2016/09/08
あくび虫
2
ぞくぞくする緊迫感とテンポの良さで、抜群に面白かったです。そこそこ小難しい長台詞が多いのに、歯切れよくぽんぽんと展開していくのはなぜなのか。やりとりの面白さに引き込まれる一方、力強い言葉にはっとさせられもしました。――ラストはピンとこなかったので一度上演を見てみたい。2020/07/30
tenma
2
3ヶ月連続してジャンヌ・ダルクを読むことに。話の流れは、非常にオーソドックスだが、宗教裁判を細々書かれると、聖書を通読していない身としてはちょっと辛い。▼ときどき、ジャンヌが蓮っ葉な発言をするのが、ちょっと可愛い。▼戯曲なので、後は演出の腕次第なのだろうが、最期の場面への転換は、上手くすると涙を誘う場面にもなるし、失敗すると白けてしまう。一度、芸達者の舞台を見てみたい。2014/04/17
刳森伸一
1
凄く面白かったし、ジャンヌの生き方には感動もした。何気に傑作だと思う。2012/09/25