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ハヤカワ演劇文庫
別役実〈1〉壊れた風景 象

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  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784151400100
  • NDC分類 912.6
  • Cコード C0193

内容説明

食べ物からパラソルに蓄音器まで用意された素敵なピクニックの場に通りがかった他人同士。不在の主に遠慮していたはずが、ついひとつまみから大宴会へ。無責任な集団心理を衝いて笑いを誘う快作「壊れた風景」。背中に残る被爆痕を人目に晒すことでしか自己の存在を確認できない男と、それを嫌悪する男。深い孤独と不安に耐え、静かな生活を守りぬこうとする人間の姿を鮮烈に描き、演劇界に衝撃を与えた初期代表作「象」。

著者等紹介

別役実[ベツヤクミノル]
1937年、満州生まれ。日本の不条理演劇を確立した第一人者。早稲田大学政治経済学部政治学科に入学して鈴木忠志、小野碩らと出会い、劇団「自由舞台」(後の早稲田小劇場)を結成。61年に「AとBと一人の女」を発表、67年「マッチ売りの少女」「赤い鳥の居る風景」で岸田國士戯曲賞を受賞。68年に早稲田小劇場を離れてからは、俳小、演劇集団円、木山事務所、俳優座、文学座アトリエなどに次々と戯曲を提供し、「犬が西むきゃ尾は東」(07)でその作品数は130本を数える。72年に山崎正和、末木利文らと「手の会」を結成。70年に「不思議の国のアリス」「街と飛行船」他で紀伊國屋演劇賞、87年に「ジョバンニの父への旅」「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」で芸術選奨文部大臣賞と読売文学賞、また98年には毎日芸術賞特別賞など受賞歴多数。また、童話、評論、軽妙なエッセイでも人気が高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

88
☆5.0 原爆をテーマにした、背中に残る被爆痕(ケロイド)を 人目に晒すことで自己の存在を確認しようとする男を描いた『象』と『壊れた風景』の2作品を収録。『象』がとても面白かった。2021/03/03

なる

32
演劇界でいわゆる「不条理演劇」の第一人者として名を馳せた大家。『壊れた風景』はまさに不条理劇の顕著な例といえるかもしれない。山へ散策に来た母娘が道に迷い、そこに通行人の男が話しかけたことから物語が始まる。次々と新たな登場人物が登場するも、あれ、、、とかその、、、とか、曖昧な言葉ばかりが飛び交い、投げっぱなしの会話は一向に進展しない。だんだん登場人物が増え、ますます話は複雑にこんがらがる。最終的なオチの部分も含め、集団心理と曖昧なコミュニケーションという、なんとも強烈な皮肉を受け取める。2021/07/20

mstr_kk

9
東京乾電池による別役実の『会議』の上演が素晴らしく、それと同時にこれまで別役作品を敬して遠ざけてきた自分に気づき、急いで購入して読みました。『象』は不条理劇というより詩的な劇で、唐十郎の初期作品はベケットというより別役さんの影響下にあったのだなあと再確認。被爆者の描き方に強烈で哀切な皮肉があり、これはやはり貴重な作品だと思いました。『壊れた風景』は、ずるずると悪夢の深みに飲み込まれていく人々の姿に、とても気分が悪くなります(作品として凄い)。日本のベケットというより、日本演劇のカフカだと思いました。2015/04/24

新田新一

8
「壊れた風景」は結末が強烈な印象を残す戯曲。登場人物たちの他愛のない会話が暗転して、深淵が顔を覗かせます。「象」は難解な内容で、最後まで読んでも作者の言いたいことがはっきりしませんでした。もう一度読み返し、これは日本の社会の弱点を、表現したものではないかと思いました。病んだものや問題点を隠そうとする事なかれ主義です。この戯曲で言えば、原爆の傷跡です。二つの戯曲とも極度に抽象的な内容で、読む人によって受け止め方が変わりそうです。ベケットの『ゴドーを待ちながら』にそっくりで、言葉の多義性が生かされています。2023/08/16

りえこ

8
もっとわかりにくかったり読みにくいかと思っていたら、面白くてどんどん読めました。2012/11/22

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