内容説明
16年前、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁判にかけられ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです―娘の依頼に心を動かされたポアロは、事件の再調査に着手する。当時の関係者の証言を丹念に集める調査の末に、ポアロが探り当てる事件の真相とは?過去の殺人をテーマにした代表作を最新訳で贈る。
著者等紹介
クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、イギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンと結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
山本やよい[ヤマモトヤヨイ]
同志社大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
329
クイーンの『フォックス家の殺人』と似た構図。中学生の時に、クリスティを離れる原因になったのが、『五匹の子豚』『もの言えぬ証人』『ヒッコリーロードの殺人』を連読した事だった。しかし『アガサクリスティ完全攻略』ではヒッコリー~以外の2作はかなりの好評価。改めて読むと相当面白かった訳だが、中学生の頃は、関係者との対話×5+回想手記×5、の途中経過が単調で苦痛だったのか。あと、当時はこの作品、童謡殺人の範疇で語られており、それを期待して失望が大きくなった。解決編で視界が反転するような感覚はさすがクリスティ。2016/07/23
nobby
202
なるほど!やはり名作と評される所以は伊達じゃない!最後でのポアロの独壇場は猛烈に気付かされる伏線やら描写に何度と嘆息繰り返すばかり!何より16年前の事件を物的証拠無いままに掘り起こすのがまたスゴい!マザー・グース童謡の歌詞から五匹の子豚(関係者)に絞り、客観的な視点、本人の言葉、そして各々の手記と重ねて過去を徐々に呼び起こす。毒殺犯人への疑いは揺るがないものの長年の恋慕・最愛の姉に向ける無念あるいは芸術家・男への憤怒が段々と表出するのが生々しい。その真相掴みかけたと思ってたけど、そこは女王が数段上手(笑)2020/04/28
修一朗
200
これもアガサクリスティ作品群の中では技巧的で人気の作品。5匹の子豚は思っていたのとは大分違っていた。子豚扱いしなくてももいいような。回想ミステリものでひたすら過去の事件関係者の供述とその人たちが書いた手紙から真相を明らかにしていく。手紙は一応読者にも公開されている。でも文章が巧くて読み解けないね。自分として犯人はこいつだって思ってみたけどもやっぱり外れました。嘘ついている人は一人だけなんだけどそれが見破れない作者の巧絶文章。これもドラマがあったので観た。ドラマだと犯人がわかりやすいんだなこれが…2024/08/25
bookkeeper
150
★★★★☆ 初読。資産家の画家が毒殺され、妻が逮捕されて獄中で亡くなった。16年前の悲劇の調査を依頼されたポアロ。画家の親友・薬草の研究者・浮気相手の娘・お転婆な妹と家庭教師…5人の証言から辿り着く真相は。 証拠品も現場も年月と共に失われ、あるのは当時の関係者達の記憶と裁判の記録のみ。極めて限られた材料しか与えられないハンデをポアロが如何に覆すかがミステリの核。過ぎ去ってしまった苦い過去への郷愁だったり後悔が良いしれぬ味わいだ。「若さには何かがありますな、ムッシュ・ポアロ。何かとても-心を打つものが」2024/03/30
stobe1904
150
【ポワロシリーズ長編】妻が夫を毒殺したとされた16年前の事件を関係者の回想と手記からポワロが真相を明らかにする。クリスティー作品の中でも高い評価を得ているだけあって、解決に至る収束具合はさすがなもの。本格ミステリとして素晴らしい出来栄え。★★★★☆2018/06/23