内容説明
海をのぞむ美しい眺望で人々を魅了する“ジプシーが丘”。が、同時に呪われた地として皆から恐れられてもいた。この地で男女が出会い、恋に落ちた。だが、まもなく乗馬に出かけた女は馬から落ちて死亡してしまう。果たして、“ジプシーが丘”の呪いなのか？斬新な手法を駆使し、著者が自信を持っておくる異色作。
著者等紹介
クリスティー，アガサ［クリスティー，アガサ］［Ｃｈｒｉｓｔｉｅ，Ａｇａｔｈａ］
１８９０年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。１９１４年に２４歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、１９２０年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。１９２６年には謎の失踪を遂げる。様々な憶測が飛び交うが、１０日後に発見された。１９２８年にアーチボルドと離婚し、１９３０年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。１９７６年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は１００以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
乾信一郎［イヌイシンイチロウ］
１９０６年生、１９３０年青山学院商科卒、作家、翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
87
安定した生活とは無縁の青年マイケルの回想で綴られていく話は、推理小説ではなく、どちらかというとゴシックホラー（そこまで怖くはないが）の雰囲気を醸し出している。マイケルの回想は抒情的で、哀愁に満ちている。それは、身勝手な独りよがりのもでしかない。それでも、その哀愁がなんともいえない優しさに包まれているのは、エリーの人徳なのだろう。2019/07/05
財布にジャック
64
裏表紙のあらすじを読まなければ良かったかもしれません。しかし、久しぶりにクリスティーのミステリーらしいミステリーを読んで、夢中になりました。ただこのトリックというか犯人はクリスティーファンなら充分予想がついちゃうのが残念です。恋愛小説仕立てでジプシーに呪われた地が舞台ということもあり、ポアロやマープルは登場しなくても、後半の謎解きも鮮やかで、傑作です！2010/09/26
藤月はな（灯れ松明の火）
55
人の望む建築を造れるサントニックスが中村青司に被ります・・・・。人の死を招くジプシーが丘で出会った二人は結婚したが・・・・・。冒険を求めつつおロマンシズムから抜けないコンプレックス持ち英国男子とほわんとしていながらもしっかりしている可愛らしいアメリカ女子の身分の差を超えたメロドラマ調の恋物語かと思いきやの残酷なラスト。臨終のサントニックスの言葉の本当の意味とその後に待ち受けていたものとやっと気づいた大切なものの落差が大変、悲しいです。 2012/08/17
punyon
40
思慕も愛情もどこにも感じない、チグハグな恋愛小説を読まされてる感じが延々と続く。人間全てに、金に群がる業と欲がチラホラ見え隠れする。伏線があまりにもあからさまで犯人にはすぐに辿り着く。え？これがクリスティー？…が、この人が共犯だったのかぁ、とわかった後半20ページで退屈な恋愛話は、一気に欲望という名の怪物に魅入られた凶悪な計画犯罪に一変する。このどんでん返しこそがクリスティー自身がお気に入りの作品の一つに上げる所以なのだろう。終わりなき夜に生まれた悪魔の末路、それ以上にこの恋の結末が哀れで悲しすぎる2021/06/06
geshi
38
終盤近くまで普通の恋愛小説の顔をしていて最後に読者を裏切る語りの上手さ。マイクとエリーの出会いから結婚そして新しい家での生活が描かれるだけなのに、ジプシーの呪いが底流となり不穏を呼び起こすリーダビリティー。クリスティーの技巧が全編に冴えわたっていて、再読して言葉のダブルミーニングや登場人物のとった行動に気付き、甘い物語を全く違ったものとして読めるミステリー。手に入れたがったものは既に自分の手で奪い去っていたラストの物悲しさが静かだが確かに残る。2018/03/01
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- 和書
- 銀 - 西山春文句集
