出版社内容情報
英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Roko
25
主人公の悦子は今は英国に住んでいます。長女の景子が自殺してしまって、その原因の一つは、自分が彼女を英国に連れてきてしまったことかもしれないと思ってます。父親が違う娘のニキは、景子の死についてそんなに責任を感じる必要はないとは言ってくれるけれど、それ以外の部分は、何かトゲトゲしい感じがしています。2025/06/03
ぴかぴか
2
映画化されたことで、再読。戦後数年たったあとの長崎。暗いというより、乾いているという印象の物語。暗くて乾いている。原爆投下された街や人々の気持ちがあらわされている面もあるのかもしれない。読み終わってとっても長い溜息がでた。2025/05/19
靴
0
カズオ・イシグロの長編デビュー作です。過去に侮蔑の眼(本編では同情的な距離感で描かれているが確かに侮蔑していたと思う)を向けていた存在に、娘に生き方を強要した上死なせてしまった今は心を重ねてしまう、贖罪とも後悔ともつかない曖昧な感情を、回想によって繰り広げられる会話劇で繊細に表現していて素晴らしかったです。特に回想で出てくる万里子という人物象は「子供」と表現され、無愛想で不気味な存在として描かれていますが、これは最後まで悦子の価値観が色濃く反映されていて背景にある深い悲しみが表れているのかなと感じました。2025/05/27
ZEN僧
0
人生のほとんどを英国で過ごした筆者とは思えないくらい、日本人を違和感なく書いている。移り変わっていく時代や歳月に生きている人たちをなんとなく寂しく表現している、しかしきれいに描いているのは筆者ならではで、良い作品だと思う。2025/05/11
よくこ
0
好きな分野2025/05/02