内容説明
謎の美女キャシーと結婚したアダムは、厳しい大自然の営みが繰り返されるカリフォルニアのサリーナスに入植した。父の遺産で肥沃な農園を買い上げ、この地に妻と子供のために永遠の楽園を創ろうと決意したのだ。だが、アダムを手助けする農夫にして天才発明家のサミュエルは、キャシーの冷たい眼差しに得体の知れない邪悪の影を見いだすのだった―世界文学史上最高の悪情が本性を現す、大河家族小説の第二部。
著者等紹介
スタインベック,ジョン[スタインベック,ジョン][Steinbeck,John]
作家、脚本家。1902年、カリフォルニア州サリーナスに生まれる。スタンフォード大学在学中から小説家を目指し、35年の『トティーヤ平』で一躍脚光を浴びると、『ハツカネズミと人間』など次々と問題作を発表した。ユートピアを求め西部へと移住する労働者家族を描き、ピュリッツァー賞を獲得した『怒りの葡萄』は一部の州で発禁となるなど賛否の激論を呼び、空前の大ベストセラーを記録。52年発表の『エデンの東』では、自らの一族の歴史を下敷きに、父と子の葛藤のドラマを壮大なスケールで描き上げ、著者の文学的名声を確固たるものとした。62年には長年の功績に対しノーベル文学賞が授与された。68年没
土屋政雄[ツチヤマサオ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
162
第2巻は 1900年ぐらいのアメリカが 舞台である。キャシーと結婚したアダムは 農園を買い取り、楽園を築き上げていこうと するが …キャシーの衝撃的な事件を引き起こす背景、心のうちがよくわからなかったが…やがて カインとアベルに繋がるこの作品、第2巻は 双子の誕生まで。2018/09/20
セウテス
80
前巻の終わりに登場したキャシーは、エデンに紛れ込みアダムを騙した毒蛇の化身なのか。アダムは取り込まれ、二人は結婚する。父の遺産で新たな土地を得たアダムは、新しい家族の為にエデンの園を築く事を夢みる。やがて二人に双子が産まれると、キャシーは遂に正体を表す。アダムを撃ち、双子を残して自らの欲望へと走り去る。それにしてもどんどん面白くなる、色んな小説のジャンルが混ざっており、正に流れる様なストーリーだ。キャシーに対する憎しみ、アダムに対する否定的感情、新しい登場人物への期待、双子への心配と心の中が激しく動く。2018/11/20
ちえ
40
キャシーの行動が強烈だが、この巻ではサミュエルは勿論、ライザやリーの言動、ハミルトン家の子供たちの描写も引き込まれて読む手が止められないほど。アダムへかけるサミュエルの「生きているふりをするんだ」との言葉が印象的。双子の名付けのシーン、カインとアベルの物語のそれぞれの解釈も興味深い。3巻へ。◆ガーディアン選書1000イベントで読書中◆2023/09/19
Book & Travel
39
波乱と不穏な展開が続き目が離せない2巻。その中心であるキャシーの悪女ぶりというか悪魔ぶりが凄まじい。一方、貧しくていろいろ問題を抱えつつも温かみのあるハミルトン家の話の場面なると、少しホッとした気持ちになる。中でもサミュエル・ハミルトンとトラスク家の中国人召使いリーの、知性を感じさせる二人の交流がいい。それぞれに背景が細やかに描かれる人物像の豊かさや台詞の深さが、物語に一層奥行きを与えているように感じられる。さてアダムと幼い双子の先行きが気になるところで、次巻へ。2023/09/16
fseigojp
33
スタインベックの祖父、サミュエルがやたらかっこいい アイルランド魂が満載とでもいうか 悪女キャシーを見抜く眼力はすごい このパートは、ほぼハミルトン家が中心だが、最後にキャシーが本性をあらわす!2015/10/19