内容説明
その夏、ぼくは廃屋の裏で隠し穴を見つけた。中には鎖に繋がれた男の子が!彼は誰?なぜここに?痩せ細った姿に同情し、食物を差し入れし始めたぼくを彼は天使だと言う。同じ頃、大好きなパパが出稼ぎから帰ってきた。以来、怪しい男たちが家に出入りするようになる。ある日、ふと目にしたニュースで、ぼくは自分の身辺で進行する恐ろしい犯罪に気づくが…少年ミケーレの友情と葛藤を描くヴィアレッジョ賞受賞作。
著者等紹介
アンマニーティ,ニコロ[アンマニーティ,ニコロ][Ammaniti,Niccol`o]
1966年ローマ生まれ。94年に長篇『えら』Branchieでデビュー。若者たちの社会的、心理的状況を生き生きと描くことで、十代から二十代の読者の圧倒的な支持を得た。96年に短篇集『ぬかるみ』Fango、99年には第2長篇『きみをつかまえて、さらっていく』Ti Prendo e Ti Porto Viaを上梓。2001年に発表した『ぼくは怖くない』が、本国イタリアで4カ月連続フィクション部門のベストセラー・リストに入り、ヴィアレッジョ賞を受賞。米仏独など8カ国で翻訳され、海外でも高い評価を受けており、映画化も進行中
荒瀬ゆみこ[アラセユミコ]
1961年生まれ、大阪外国語大学外国語学部イタリア語学科卒業、イタリア文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
33
妹の御守にうんざりしながら我慢したり、嫌な奴と付き合って遊んでいたりするミケーレの心情がかつて感じていたことと似ていたので曳きこまれました。彼は穴倉にいる少年を見つけて世話をするようになる。しかし、南部に住む彼の親たちは豊かな北部に住む少年を誘拐してきたことが分かってから展開はがらりと変わる。だんだん、北部への憎しみで子供を嬲り殺そうと提案するじいさんに胸が悪くなり、ラストの父親の慟哭は悲しい。それでもフィリッポを救おうと頑張り、勇気づけたミケーレの強さが光る。「怖くない」と言ってくれる人がいるからの勇気2013/09/28
神太郎
26
「視点」を物凄く意識した作品である。終始子供の視点から見た世界で描いているので、大人たちの都合の物語にさせないようにされている。当時のイタリアの社会情勢もあるのだが、勿論、子供だからわからない。大人たちは「誤魔化す」ことで社会に順応していくが、その誤魔化しに子供たちは「なぜ?」と問う。子供達には子供たちなりの世界の捉え方があり、基準がある。ミケーレは純真さから来る勇気でもって大人たちの間違いと対峙することになる。最後はドキッとしたが、救いのある物語であったので安心。2016/05/04
とくま
5
△割とすっ飛ばしで読んだけど、外国の好きな雰囲気の作品。2019/06/16
秋津
5
一度も本にしおりを挟むことなく、文字通りいっき読み。大人を「悪者」と描くことがないことが良いと思った。とくにパパとセルジョの描き方が好き。2014/01/09
訃報
5
金色の小麦畑、灼熱の太陽に青い空、少年と歪んだ大人たち。と書くと、フィリップ・リドリーの『柔らかい殻』を思わせる。世界はあくまで少年の目に見えるもので出来ている。大人たちの内心は読者が推察するしかない。少年にはそれができないから。現実に埋もれた夢が時折ひょっこり顔を出すのも『柔らかい殻』と似ている。あっちの方が徹底して救いようがない分、主人公が逃げ込む幻想の領域も大きかったと思うが、本作ではユーモアと主人公の誠実さが救いになっているし、妹とか母親とか、手を差し伸べてくれる人もいる。2013/01/27
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