内容説明
ラドブルックは、飲酒や対人関係の悩みを抱えながらも、クラスに欠かせない存在になっていく。とくに孤児シェモーナとのきずなは、彼女の無言症に光明を投げかけた。一方、断酒の努力は難行したが、トリイや子どもたちとのふれ合いの中で、過去の辛い体験と向き合えるようになっていく。やがて来る別れを前に、子どもたちもラドブルックも、それぞれの道を歩み出そうとしていた。爽やかな結末に勇気づけられる、ノンフィクション大作。
著者等紹介
ヘイデン,トリイ[ヘイデン,トリイ][Hayden,Torey]
1951年5月21日、米国モンタナ州生まれ。情緒障害児教室や福祉施設などでの体験をもとに『シーラという子』をはじめ数々のノンフィクションを著し、世界中に大きな感動を巻き起こしている。同書は世界29カ国語に翻訳され、各国でベストセラーを記録した。その他にも、心の闇を見つめる確かな目と豊かな想像力で描いた小説、精神科医の斎藤学氏との対談を収録した『子どもたちは、いま』などがある。現在はイギリスで執筆活動のかたわら農業を営み、児童心理学の研究も続けているほか、児童虐待や自殺の防止ホットラインの活動にも力を尽くしている
入江真佐子[イリエマサコ]
国際基督教大学教養学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Rin
23
【再読】色々と勉強にもなりました。何気ない言動が相手に与える影響、「話す」ということの重要性。感情的にならない、冷静で客観的であることの必要性を痛感。トリイの仕事としてのプロ意識や、仕事として割り切らず一歩踏み込めるその愛情が凄い。「どんなに辛い過去も終わったこと。二度と起こらない」「あなた自身とあなたが抱えている問題は違う」たくさんハッとさせられます。シェモーナがトリイの名前を呼んで、皆で写真を撮って。その瞬間は確かに幸せで。また問題と向き合っていく皆の未来が、少しでも優しいものであってほしいです。2015/03/31
いのちゃん
2
だんだんといろんなことが進んでいくのがよかった。見守っている気持ち。ピクニックのところがすごくよかったです。2017/09/10
AR読書記録
1
結局ラド夫婦と娘がそういう形になって終わるのは、娘の立場で考えたときにどうだったんだろうか、と思うところはあるが、現実は小説とはちがって大団円におさめられるものではなし、少しでも世界の中の“幸せ”の総量が増えることをめざしつつ、できることをやる、変えられることを変えていくことしかできないんじゃないかなあ、とか。それにしても、こういう仕事をできる人を尊敬する。2019/07/04
ハルチソ
1
トリイ作品文庫本制覇。下巻はトリイとラドブルックがメインでサクサク読めた。感動はしないけど良い話ではあった。2014/09/16
ゆうこ
1
『愛されない子 下』半分はラドブルックのアル中や失語症の件だった。ラドブルックの旦那のトムはなんか愛情が歪曲してて嫌な感じ。肝心の子供達は、シェモーナの症状の大幅な改善を中心に、彼女を操り人形にしていた姉のジェラルディンが崩壊していっていたように見えた。ジェラルディンが自分の手の平に釘を打ち付けて床に貼付けた事件が衝撃。手癖が悪く、行動が意地悪いけど、国の紛争に巻き込まれてひどいめに遭った事を考えればやっぱり可哀相。シェイミー、シェモーナ、マリアナの3人は通常学級に戻れたし、レスリーはトムと幸せに暮らして2013/02/26