内容説明
バークの前に現われた女はベルと名乗った。圧倒的な肉体を持つストリッパーながら媚びを知らず、その心は無垢だった…ベルの手引きで、少女売春婦だけを次々と襲う〈幽霊ヴァン〉を片付けてくれという依頼を受けたバークは、暗黒街を探り始める。だが、逆に血に飢えた空手使いをおびき寄せてしまった。現代ハードボイルドの鬼才が描く、殺人鬼とバークの凄絶な対決。一途な女の哀しき純情が心打つ、シリーズ代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
78
【アウトロー探偵バーク】シリーズ第3弾。今回のヒロインはストリッパーのベル、彼女の手引きで少女売春婦ばかりを、殺害する奴らの依頼を受ける事に。異常性欲者と殺人マニアの武闘家との闘いとなるが、今回は相手も殺られるだけではない。バークたちを認識し、先手をうって攻撃を仕掛けてくる。ベルやバークの生い立ちからも、幼児虐待の問題を訴えているのは理解できる。だが、ヒロインベルとバークたちの温かい会話が何とも心地良く、ラストの切なさに到っては、孤独な男たちと運命の女の物語が素晴らしく、単に余韻に浸りたいだけである。 2020/08/09
ずっきん
77
悪党探偵バークシリーズの中でも、ピカレスク好きの読友さんたちがこぞって薦める「ブルーベル」 あの『不夜城』が生まれるきっかけとなった作品。とにかくヒロインのベルがいい。デカいんだよ?美女じゃないんだよ?(表紙の人は違うと思う) それでも可愛い、せつない、抱きしめたい。そんなベルを、強烈な個性を誇るバークファミリーが優しく包むように照らす。「あたしを救って」もうこの台詞が刺さりまくる。ハードボイルドとリリシズムが融けあう文体がいざない、物語はたゆたう。たまらない。ロマンチックな馬鹿野郎にオススメの逸品。2019/12/09
goro@80.7
56
再読了もまた泣いてしまう。これはバークとベルの愛の物語。愛しいベル、安らかに、また読む日まで。2022/01/29
くたくた
56
《第183回海外作品読書会》アウトロー探偵バーク3冊目。バークのひりひりする生き様から目が離せないピカレスクであるとともに、バークの欠けた部分にベルの無私の情愛がしみこんでいくリリシズムがないまぜになって、全編にわたる二人の情交が深まるほどに、来たるべき破局のエネルギーが高まっていく。一気読みしたいのに緊張感が高まりすぎてとてもじゃないがそんなこと出来ない。決して治癒することも、完成することもない孤独な人生を抱えた二人が出会い、愛し合い、そして死が二人を分かつ。お願いだから彼に救いを。2021/06/26
GAKU
56
悪徳探偵バークシリーズ第三作。ベルというストリッパーの手引きにより、少女売春婦だけ襲う一味を片付けてくれという依頼を受ける。暗黒街を探り始めるバークは、一味の仲間と思われる、空手使いの殺人鬼と凄絶な死闘を繰り広げる事となる。今作もバークと家族同様の個性的な暗黒街の仲間達がバークをサポート。また暗い過去を持つベルとの哀しすぎる愛のストーリーも織り込まれ、600頁弱の大作ですが、期待を裏切らない面白さで一気に読ませてくれました。2016/05/06