感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
72
人間は一皮剥けば違う顔を持っている。「人は見かけによらぬもの」とわかっちゃいるけどついつい思い込みの罠にはまってしまう。探偵サムスンは何度も間違う。コツコツと調査を重ねて、確認できた事実から思い込みを見直し修正する。何度も何度もそれを繰り返すことで、これまで見えてこなかった意外な真実にたどり着く。天才的なひらめきを持っているわけではない。荒事は苦手。それでも真実を知りたいと思う気持ちは人一倍強く、真っ当な人にはいつでも手を差しのべようとしている。良いミステリです。なぜ絶版になっているのか、理解に苦しむ。2021/08/16
bapaksejahtera
14
著者作品は3冊目。流行らぬ探偵サムスンシリーズでは最も気に入った。探偵が居所を追い立てられる直前に女性から有難い依頼が入る。その友人が嫁いだ先から失踪した。これを調べてくれという。現地に行くと横暴な夫の許を逃げ出した妻は遺産を相続した遊び人実業家と遁走したという。後にその遊び人は森で産められて発見される。依頼女性は怪しくも姿を消し、田舎町の失踪事件は複雑な様相に。本シリーズは同じ作者のパウダー警部補ものと並走して公刊されているようで、この人物も軽みのあるキャラで本作にも登場する。いい作家を見つけたようだ。2022/10/10
しろ
9
☆7 後半に続くサプライズはキレもバランスも非常に良かった。多少わかりやすい真相と意外な真相をタイミングよくちらしている。ミステリとしても評判通りに面白い。消えた女はどこに行った?というのをコツコツと外堀から埋めるように、多くの関係者から探っていく。中だるみしそうなときにパウダー登場がいい味出しててアクセントになってるなー。てか毎回かもしれないけど、サムスンって肝心なところだったりが読めてなかったりするよね。そこらへんも含めてとても魅力的な探偵。2012/05/24
Madeleine
3
失踪した友人を探しに来た依頼人も消えた。厄介な事件に面倒な村の人々に振り回される。もう一度人生をやり直すために懸命に生きる人を見つめるサムスンの眼差しが温かい。いくつになっても、好奇心は忘れないようにしないと。2022/11/16
七月
1
宮部みゆき「誰か」の解説でオススメだった本②。アメリカの地理を知ってたらより楽しいかも。消えた女の行方を追ってる段が楽しかった。2017/12/19