内容説明
夕闇のせまるオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、二人の娘がヒッチハイクを始めた。「明日の朝には笑い話になるわ」と言いながら。―その晩、ウッドストツクの酒場の中庭で、ヒッチハイクをした娘の一人が死体となって発見された。もう一人の娘はどこに消えたのか、なぜ乗名り出ないのか?次々と生じる謎にとりくむテレズ・バレイ警察のモース主任警部の推理が導き出した解答とは…。魅力的な謎、天才肌の探偵、論理のアクロバットが華麗な謎解きの世界を構築する、現代本格ミステリの最高傑作。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
383
★★★★☆ モース警部シリーズ第1作目にして、シリーズ中で最も有名な作品。 モースは警部という立場や、地道に仮説を構築していく捜査スタイル、庶民的な生活という複数の点でクロフツ作品のフレンチ警部と似た部分がある。しかし、最後の最後に意外な犯人を論理的に割り出す点では伝統的な天才タイプの探偵といえる。 本作は登場人物のうち怪しい者がどんどん離脱していくので消去法で真相は看破できた。しかし、犯人には好感を持っていたので、読後は悲しい気持ちになったし、その点で心に残る作品だった。2023/01/13
徒花
271
びみょ。おもしろくないわけではないんだけど、翻訳がよろしくないのか、どうにも読みにくい。ところどころ「たぶんここは笑いどころなんだろうなあ」と思うような部分はあったが、つかみきれなかった。筋書きとしては、レイプされた若い女性の殺人事件をめぐって主任警部モースがいろいろ操作を続けながら真相を究明していく物語なのだが、この主任警部は終盤まであまり冴えない男で、けっこう推理を何度も外したりする。かといって、最後のなぞ解きが予想よりも鮮やかなわけでもなく、ちょっと消化不良気味。2017/11/21
夜間飛行
233
バスを待つ二人の女の子がヒッチハイクをし、一人が殺された。もう一人はなぜ名乗り出ないのか? 少し偏屈なモース警部が捜査を始める。バス停にいた女の証言、二人を車に乗せた大学講師の話…と手がかりは得られるが〝もう一人の女の子〟は見つからない。人々の話には靄がかかったように虚実が入り混じっている。そしてモースの探る人間関係には至る所に情欲が絡みついてくる。彼自身も若い娘に恋し、気持を伝えつつ悩む姿が微笑ましくも物哀しくもあった。情欲というものが危険である一方、人間的な出会いもそこにあるという事を考えさせられた。2022/02/06
遥かなる想い
123
三転・四転する 展開だけでなく、淡い恋物語りを適度に織り交ぜることにより、本作を色彩豊かなミステリーにしている。ウッドストック行最終バスに乗らなかった二人の娘のうち、一人だけが 死体となり、もう一人は 一体どうしてしまったのか・・で始まるエピローグから、すっかりストーリーにはまってしまい、最後の切ないせりふに、ためいきをついてしまう・・そんな 素敵なミステリーであった。2010/05/23
W-G
105
再読です。もう10年以上前に読んだのに結構内容は覚えていました。初めて読んだ時と同じくらい楽しめました。決定的な証拠で理詰めで犯人を指摘している訳ではなく、新本格を通過した後では若干ロジックの甘さが気になるかもしれないけど、それでもミステリとしては絶品。次作以降も読むつもりでいたのになんとなくずっと放置したままだったので、ちょこちょこ読み進めていきます。2016/04/27