内容説明
人種差別がいまだ厳しいアメリカで、黒人大リーガーとしてブルックリン・ドジャースに入団し、注目を集めるジャッキー・ロビンソン。第二次世界大戦で心身ともに傷を負ったバークは、彼のボディガードとして雇われる。立場を越えて友情を深めるふたりだが、イタリア系ギャングがロビンソン暗殺を計画する。バークは友人を守りきれるのか?1947年のアメリカ野球界を舞台に男たちの友情と闘いを描く傑作ハードボイルド。
著者等紹介
菊池光[キクチミツ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kircheis
282
★★★★☆ 黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンのボディーガードを主人公に据えたフィクション。 バークとジャッキーの友情、ローレンとの恋、そして殺し屋キャッシュとの奇妙な交流と見どころは多く、また作者自身と思われる少年ボビーの回想がノスタルジックな気分にさせてくれる。 ストーリーは少し都合良すぎな部分もあるが、最後には全てが1番良い形に収まり、読後感は最高だ。 スペンサーシリーズのホークと同じ立ち位置のキャッシュが助演男優賞物の活躍。こういうのに弱いんだよね(涙)2022/11/17
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
67
1947年、黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンが誕生した。戦争で心身に傷を負い、漂うように生きていたバークは、話題のルーキー・ロビンソンのボディガードとして雇われる。人種差別が厳しいアメリカで、球場の内外を問わず闘うロビンソンを護るうち、二人には信頼と友情が芽生える。しかし複数のギャングとのトラブルはやがて試合中の暗殺計画に発展する。ポール・オースターら多くの作家が郷愁を込めて綴った〈ブルックリン・ドジャース〉を舞台に、当時の試合の記録など史実を織り交ぜながら、誇り高き男たちのドラマが描かれる。2015/01/17
goro@the_booby
34
近代メジャーリーガー初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンのボディガードになったバーク。戦争から戻ったバークは厭世的だがジャッキーへの火の粉を振り払う中で少しづつ変わってゆく。同じ匂いを持つキャッシュとの会話も粋だねぇ~。ジャッキーはメジャーに行ったから二グロリーグとの間にも色々あったして複雑で困難な道だったんだな。球場に一人で野球を観に行く事は大人の一歩かもね。スペンサーの「失投」も読み直そうかな。2016/04/28
ツバメマン★こち亀読破中
29
傷を負いながらも戦争から帰還したバークは、愛する妻が他の男の元へ去ったことを知り、心にも大きな傷を負う。そんな彼が黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンのボディガードを務めることに。静かに人種差別と闘うロビンソン。立場の異なる2人はやがて深い友情で結ばれ…。実在の人物を歴史的な背景を踏まえながら登場させて、こんなサスペンスが描けるのはパーカーだけですね!パーカー&野球が好きなのに今までなぜ読まなかったのだ?俺っ!…という1冊です!2021/08/02
tom
8
ディックフランシスの競馬シリーズと奇妙に似通った印象の話。翻訳は菊池光。翻訳者の嗜好がそのまま文体に現れ、雰囲気にまで影響している感も。ここのところで、菊池光の翻訳者としての評価がいろいろ別れてくるらしいけれど、わたしは、単文で刻むような文体の翻訳が好み。でも、他の人が翻訳したら、まったくの別物小説が現れるのかも。2013/08/22