内容説明
スペンサーとの運命的出会いから十年―自閉症の少年から、ダンサーとしてすっかり成長したポールが新たな問題を抱え、スペンサーの前に現れた。連絡のとれない母親を捜し出してほしいという。調べると、母親はチンピラと駆け落ちし、しかもその男はギャング組織の金を持ち逃げしていた。やがて、スペンサーは男を追うギャングと渡りあうことに…スペンサーの生い立ちを挾み、親子と男女の絆を描く名作『初秋』の続篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
294
★★★★☆ スペンサーシリーズ第18作目。名作『初秋』の正統派続編である。『初秋』では捜される側だったポールが、逆に母親の行方の捜索をスペンサーに頼んでくる。あまり評判の良くない作品だが、個人的にはシリーズでもトップクラスの感動作だと感じている。 子を想う親の葛藤が様々な角度から描かれているが、特にギャングのボスであるブロスの姿には胸を打たれた。 また、犬のパールの登場も愛犬家としては嬉しいポイント。2022/10/23
おしゃべりメガネ
178
前作ともいえる『初秋』を読んだのは、確か自分がまだ学生服を着ている頃だったので、もう何十年以上前になりますが、最近続編があるとこの読メで知り、手にとりました。さすがに20年の歳月が流れると以前のストーリーは忘れてしまいましたが、それでも「スペンサー」の‘タフさ&カッコよさ’は相変わらず健在で、イッキに読み終えてしまいました。「愛」の中でも、もっとも永遠のテーマとされるであろう「親子愛」にスポットをあてた本作ですが、読んでいる自分が「ポール」ではなく、「スペンサー」側に近くなったと感慨深いモノがありました。2014/11/04
mura_ユル活動
77
晩秋』を読んで『初秋』から本作品まで間に10作品あるようです。『初秋』とこの『晩秋』は対になっている。タイトルの『秋』は実際の季節のことよりも比喩的な表現で使われている。『初秋』では少年ポールが両親から虐げられ、探偵スペンサーがポールを自立させ、『晩秋』では、自立したポール(本当に精神的に成長してる)が、1人では生きていけない母親を探し出しどうするのか?ある一方では、闇の組織の世襲問題あったり、スペンサーの生い立ちの内容もあって、人間ドラマ(父性)盛り沢山でした。2016/11/10
セウテス
67
〔再読〕初秋から10年が過ぎたある日、25歳になったポールから依頼が入る。行方不明の母親探しであったが、ギャングの金をちょろまかしたチンピラの彼氏と逃げていたのだ。テーマは、親子愛と自立という感じか。結婚を考え前向きに生きるポールに対し、未だ男に依存している母親、子供を闇雲に溺愛し子離れの時期を見失ったギャング親子が、対比するかの様に描かれる。初秋で自閉的だったポールが、自立して夢を掴んでいく強さと、それを見守りながらも自らも成長していたスペンサー、男の強さが父性であるハードボイルド作品に嬉しさを感じる。2016/03/10
goro@一箱古本市5/5
62
「初秋」では少年が青年になり、この「晩秋」では大人になるポール。子供の成長を見守るスペンサー。出来の悪い息子を庇う老いたボスとの対比が軸。スペンサーシリーズの中間を飛ばして読んだけど、いつからスペンサーはブローニングを持つようになったんだ。タフな私立探偵はやっぱりS&Wチーフスペシャルだろ!と一人納得できないのであった。2017/10/24
-
- 和書
- ヴァレンシュタイン