内容説明
深夜、元警視ダイヤモンドはかつての職場の警察署に呼び出された。四年前、ダイヤモンドが女性ジャーナリスト殺人事件で逮捕した男マウントジョイが脱獄し、副本部長の娘を誘拐したうえ、交渉相手にダイヤモンドを指名してきたという。マウントジョイとの会見に赴いた彼は、そこで四年前の事件の再捜査を要求される。やがて埋もれていた事実が次々と…英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞した、シリーズ会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
39
職を辞して2年後、失業中の元警視ピーター・ダイヤモンドの家に刑事たちが訪れる。4年前、ダイヤモンドが逮捕し無期懲役となった男が脱走。元職場の副本部長の娘を誘拐し、ダイヤモンドに自分の無実を晴らすよう再捜査を要求しているという。頑固で人遣いも荒いけど憎めないダイヤモンドの魅力でぐいぐい読んだ警察小説/ミステリーで、最後に意外な……というのもお見事。20年ぶりの再読も、記憶力の悪さが幸いして、いやあ面白かった。2021/10/21
mayumi
25
ピーター・ダイヤモンドシリーズ第3弾。刑務所を脱獄した男が警察副本部長の娘を人質に取る。要求は、自分にかけられた殺人容疑を晴らすこと。過去に彼を逮捕したダイヤモンドは再捜査を始める…というストーリー。時々、ダイヤモンドって性格悪いな…と思う時もあるけれど、過去のミスを認めて真実に辿り着こうとする姿勢は好感が持てる。ただ今作は真犯人までにかなり遠回りをしたなあ、という印象。死体の口に突っ込まれた薔薇の意味はなるほどと思った。次作、ダイヤモンドは刑事にようやく復帰するらしい。楽しみ。2020/07/07
のざきち
16
過去の殺人事件を再捜査するミステリはあまたあれど、本作品は極めて異質。ダイヤモンド元警視が逮捕した囚人が脱獄、警察署副本部長の娘を誘拐し元警視自身に事件の再捜査を要求する...4年前の事件の真相の究明という脱獄囚との約束を果たすべく、身体を張って奮闘する「民間人」ダイヤモンド。警察小説と本格ミステリの面が程よくマッチしていて、1995年度CWAシルバーダガー賞受賞も納得の作品でした。2020/05/14
おくちゃん
12
私にとってダイヤモンド警視シリーズの2冊目。さすがシルヴァーダガー賞受賞作品。このシリーズも填まりそうです。2021/03/11
J・P・フリーマン
12
ダイヤモンド元警視が殺人事件で逮捕したマウントジョイという男が刑務所から脱走。彼は人質をとってダイヤモンドに、自分は無罪だから事件のやり直しをするように求める。正統派のフーダニットもので、警察をやめたあとでも正直であろうとするダイヤモンドが印象的。犯人の決め手は動機だったけど、推理小説を読みなれている人は、犯人にすぐにピンとくるでしょう。2020/12/06