内容説明
雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。不可能としか思えない状況でも、確実に獲物をとらえる。そして巧妙に事故や自殺に見せかけたうえで、声明文を送りつけるのだ。署名はHOG―このおそるべき連続殺人事件解決のため、天才犯罪研究家ニッコロウ・ベネデッティ教授が乗り出した!アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く本格推理の傑作。
著者等紹介
デアンドリア,ウィリアム・L.[デアンドリア,ウィリアムL.][DeAndrea,William L.]
1952年、ニューヨーク州ポートチェスター生まれ。エラリイ・クイーンに心酔し、シラキューズ大学卒業後、工場やミステリ専門書店勤務を経て、1978年に『視聴率の殺人』で作家デビュー。これがMWA賞最優秀新人賞を受賞、翌年発表の『ホッグ連続殺人』も同最優秀ペイパーバック賞受賞と、2年連続の栄誉に輝いた。その後も知的な本格ミステリを次々と世に送り出し、高い評価を受ける。また、ミステリ編集者としても手腕を発揮し、1994年のEncyclopedia MysteriosaでMWA賞最優秀評論/評伝賞も獲得している。妻はミステリ作家のオレイニア・パパゾグロウ。1996年、ガンのため44歳の若さで死去
真崎義博[マサキヨシヒロ]
1947年生、明治大学英文科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
115
★★★★☆ 連続殺人鬼HOGを捕まえるため、多彩な捜査メンバーが頑張るお話。 どの登場人物もキャラが立っていて読み応えがある。 ただ犯人や動機などはこの作品以前の古い作品にも散見される使い古されたものだし、実際半分読む前に真相が想像できてしまったのは少し残念。 それでも最後の一行は味わい深いし、やっぱりおもしろい!2019/06/21
麦ちゃんの下僕
104
中山七里『超合理的!ミステリーの書き方』の中で、「押さえておきたい古典10選」の1つに挙げられていた作品。建設中の陸橋から標示板が落下し走行していた車を直撃…不運な事故と思われたが金具には切られた跡が!?…そしてその“事故”を目撃した新聞記者宛てに「HOG(=豚)」という署名の犯行声明が届いて…という物語。なるほど…“あのパターン”の元祖という訳ですね!現代のミステリーファンなら犯人や真相を見破るのは難しくないと思います。やや読みにくさはありますが…なぜ「HOG」なのかを明らかにする最後の1行が実に秀逸!2025/04/18
遥かなる想い
87
事件の展開と犯罪調査を担当する教授はそれぞれ魅力的なのに,物語り全体の流れはいまいちである、という印象を受けた。HOGと名乗る犯人の不気味さ・恐怖感の書き込みが足りないためだろうか? 読者は単純なので、犯罪発生時の驚き・哀しみ・驚愕の描写シーンがもっとあった方が 盛り上がったように 思う.アメリカ探偵作家クラブ最優秀賞を 受けたそうだが、 私の感性にはイギリス的なミステリの方があうみたいである。2004/01/01
やきいも
86
海外ミステリーの人気投票でランキングに入る事の多い作品です。私は結末がすごく気になって一気に読んでしまいました。ニューヨーク州スパータの町で「HOG(ホッグ)」と名乗る人間による連続殺人がおきる。それぞれの被害者の間には何の人間的つながりもない。この無差別殺人の目的は何なのか...。無差別殺人の動機の説明もある程度きちんとできています。たくさんの方々に楽しんでいただけるミステリーだと思います!2015/05/01
セウテス
79
ニューヨークの都市スパータで、HOGと名乗る者から犯行声明が届く。自動車事故死や階段の転落死、麻薬でのショック死など次々と起こる事件の被害者は、自分が殺害したのだと言うのだ。HOGはいったい誰なのかは勿論、被害者たちの繋がりを探す物語となっている。最初は読んで直ぐに、クリスティーのABC殺人事件と同じトリックかと思う。しかし更に一歩捻った、素晴らしいプロットとアイデアの作品であると解るだろう。大胆な伏線、最後の一行の威力、魅力的な演出は多いのに、犯人やトリックに簡単に気付いて仕舞うのでは残念で仕方がない。2017/02/05