内容説明
コナン・ドイルが自身の作品中でベストに選んだ「まだらの紐」、“ありえないことを消去していけば、あとに残るのは、いかにそれが信じがたいものであっても、真実にちがいない”という名言を生んだ「緑柱石の宝冠」、古びた帽子を拾ったことが大事件へ発展する「青いガーネット」など6篇を収録。後世のミステリ作品に多大な影響を与え、舞台、映画、ドラマと、小説の世界にとどまらない広がりを見せる永遠の名作の新版。
著者等紹介
ドイル,アーサー・コナン[ドイル,アーサーコナン] [Doyle,Arthur Conan]
1859年英国スコットランドのエディンバラ生まれ。ロンドンで医師をするかたわら、小説を執筆。1887年“シャーロック・ホームズ”シリーズの第一作『緋色の研究』を発表。1891年から「ストランド・マガジン」にて連載がスタートしたことにより、爆発的な人気を得る。“ホームズ”シリーズ以外にも、歴史小説、SF、スポーツものなど、著作は多岐にわたり、後年は心霊学にも傾倒した。1902年ナイトに叙される。1930年死去
大久保康雄[オオクボヤスオ]
1905年生、1930年慶應義塾大学卒、英米文学研究家、翻訳家、1987年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
25
再読。下巻は女性の遺産分与の瑕疵だけでなく、英国人にとって囚人の流刑地でもあった未知のアメリカからの訪問者(stranger)への警戒心が見える作品も収録されています。「技師の親指」はあのスプラッタ描写を想像するといつも鳩尾辺りの血が一気に引いて体の芯からの底冷えを感じます。2015/07/13
みっぴー
24
誰もが聞いたことのある有名な作品をピックアップ。上巻『ボヘミア国王の醜聞』『赤毛連盟』『五つのオレンジ種』『唇のねじれた男』下巻『まだらの紐』『緑柱石の王冠』などなど。ミステリにおける不変のトリックである〝一人二役〟や、〝あり得ないことを消去していけば、後に残ったものが真実〟が存分に堪能できる短篇集です。心理トリックや盲点トリックが得意のチェスタトンと対比して読んでみると、また違った楽しみが出来ます。 何より、装丁がめちゃくちゃかっこ良くて好みでした。トリックも装丁も、simple is best!2016/12/19
ぽま
17
ハヤカワ改訂版下巻。『青いガーネット』から『椈の木荘』まで。/改めて『冒険』を通読すると、犯人の犯行動機に「未婚女性の財産管理権を喪失することに対する焦燥」が多いことに気づく。不労所得があったらあったで、当時の女性は面倒ごとに巻き込まれやすかったのだろうか。/巻末は、名うてのシャーロキアンである北原氏と日暮氏の対談。こちらはこちらで濃い内容だったので、満足。2015/07/01
りんご
14
パロディやオマージュ等で事件の真相を知ってしまっている物語が多く、なかなか読めていたかったホームズシリーズ。真相が分かっていても、ホームズとワトソンのキャラクターはたっていて面白い。ミスリードするような情報もあるのでオチが分かっても楽しめる。流石読み継がれ、歴史に残る名作は違う。思いの他ホームズが正義の味方のような活躍をしていたのも驚いた。『大逆転裁判』で真相は知っていたが、「まだらの紐」がやっぱり好き。また古典ミステリのなかでは、翻訳のお陰もあり群を抜いて読みやすいところも良い。2022/10/29
おひさまリボン
11
下巻の「緑柱石」のお話が1番好き!殺人事件より、宝石盗難事件のほうが「おお!そんなとこに犯人は隠したのね!」って奇想天外で面白いんですもの。2019/10/04