内容説明
仕事を終えて帰宅したジョージを迎えたのは、ガスの充満した台所と、そこで息絶えた妻ヒルダの姿だった。自殺と思えたが、死体に外傷があり、警察の追及はジョージへと向かう。逮補、そして裁判へ。そこへ帰国したジョージの戦友マックスは、友の無実を信じ、独自の調査を始める。だが、ヒルダの周囲の人々に聞きこみをすると、そこに意外な事実が…強烈なサスペンスで一世を風靡したガーヴの代表作を新訳決定版で贈る。
著者等紹介
ガーヴ,アンドリュウ[ガーヴ,アンドリュウ][Garve,Andrew]
1908年イギリスのレスター生まれ。本名ポール・ウィンタートン。ロンドン大学経済学部卒業後、経済誌の記者を経て新聞記者となり、ロジャー・バックス名義でミステリ小説を発表。第二次世界大戦中はモスクワ特派員をつとめた。1950年に、アンドリュウ・ガーヴ名義での処女作である『ヒルダよ眠れ』を発表して、一躍注目を集める。以後人気作家の地位をたもち、1978年に70歳で引退した。2001年没
宇佐川晶子[ウサガワアキコ]
立教大学英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めしいらず
57
ヒルダはなぜ殺されたのか。逮捕された夫は善人の鑑。冤罪を疑わぬ友は彼の為に奔走する。証言者たちは被害者への嫌悪を表明。そして彼が肉薄したヒルダ殺しの真相とは。ミステリとしては粗雑だ。性急すぎる展開。証言者の美女との情事。安っぽい物語を展開させる為の描写しかない窮屈感。その分リーダビリティは高いと言えるが、小説としての潤いはない。本書の最大の読み所は被害者ヒルダの人間像だ。読者は必ず加害者に同情してしまう筈。彼女は善人然とした只々嫌な女だ。でもそれが度を越したら立派な殺害動機にもなりうる。そこが新鮮だった。2018/01/20
hit4papa
43
妻殺しの疑いで逮捕された夫の無実を晴らすため、夫の親友が奔走するというお話しです。妻その人の事を聞きまわるうちに、彼女の性悪さが徐々に明らかになっていきます。若い頃、自身の魅力を持て余した女性が、結婚を境にだらしなくなっていき、今度はまわりが持て余していく。その過程は面白いのですが、肉親から忌み嫌れるほどかというと、そうでもないような。ミステリの結末は、アレレ、あまりにあっけなく、(翻訳小説ではおなじみの)納得できかねる急展開のラブラブがあるなど、どうにもこうにもです。50年代の有名作品ではあります。2018/09/14
goro@the_booby
33
今ならヒルダのような人も現実にいると思うけど、刊行された55年前ならどうだろう?話が通じない人って居るよな~。こちらの話は聞かないでひたすら自己の正当性を強調する輩が!まぁクレイマーもその類いだわな。現代のほうが身につまされると思う。ヒルダを主人公にすればキングの物語になりそうですわ。こんな女性と暮らしてたジョージが違う人を好きなっても仕方ないわさ。でも、ヒルダも可哀想な女なのかも。原題「No Tears for Hilda」が良いよね。2016/05/06
みっぴー
28
殺人の容疑で捕まった友人を助けるため、素人探偵が真犯人を探し出すー「幻の女」のようなドラマチックな演出が有るわけでもなく、淡々とした印象でした。ただ、殺害された〝ヒルダ〟の人物像が薄気味悪く、〝誰にでも殺意を抱かせる女〟という表現は秀逸でした。ただそこに居るだけで調和を乱す人っていますよね…夜中に押し掛けてきて「来てあげたわよ」は閉口。反面教師にしたいと思います。2015/12/13
youyou88
14
殺人の罪で逮捕された友人。友人の無実を信じてマックスは独自で調査を始める。 面白かった!!徐々に明かされる真実。 人には色んな面があってすべてを知っているわけではない…ね。 感想はこちらでも書いてます↓ https://ameblo.jp/harayou1223/entry-11379128045.html2023/09/26