感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
268
訳文の文体になじめず。そのせいもあってか、主人公の探偵ネロ・ウルフにも、物語の語り手のアーチー・グドウィンにも感情移入できないまま。あるいは、原語で読めば印象も違うのかも知れないが。また、物語の中でのキー・コードの一つとなる「贖罪連盟」にも投入できなかった。英米では人気のシリーズらしいし、ここ読書メーターでの評価もけっして低くはないのだが。「坊主憎けりゃ袈裟までも」と言うけれど、タイトルまでもが気に入らない。 2017/03/31
ケイ
141
『the league of frighted men』=怖がる男たちの集まり、だから、腰抜け同盟なのだ。彼らがなぜに腰抜け同盟を組んだかというのか、面白いところ。他人をいじめたり、他人を否定するような事を集団ですると、後ろめたさがどこでどのように恐怖となるか…心理的要素を上手く入れ込んだ作品だと思う。最後は私もムズムズしてしまった。その妙な怖さと、主人公の探偵の神経の太さがまたいい味を出していると思った。2017/09/20
まふ
104
大学時代の寮生活の中で下級生に怪我をさせてしまったため、その下級生からの復讐を恐れて同盟を組んでいる12名の同窓生たちに売り込んで、高価な解決料を要求する主人公ネロ・ウルフ氏はなかなかの商売人だとは思うが、そもそもその怯える人たち同盟の設立趣旨がピンと来なかった。ウルフ氏の推理の結果、問題は思わぬ方向で解決するが、その思わぬ方向もいささか単純すぎ(?)、もっと工夫してもらいたかった、というのが率直な感想。⇒2024/09/14
セウテス
84
【探偵ネロ・ウルフ】シリーズ第2弾〔再読〕。ヘレン・マクロイが受章したネロ・ウルフ賞は、彼の功績と人気を讃えたものです。話は学生時代に障害が残る怪我を負わせてしまった下級生を、仲間で援助をしてきた同盟が舞台となります。ある日同盟の一人が崖から墜ちて死に、次に一人が中毒死一人が行方不明となりウルフに依頼に来る事になる。果して被害者の復讐が始まったのか、登場する人物像や心情が、細かく描写される文学的な特徴が気にいってる。ユーモラスなタッチに鋭い心理の動き、グルメもたっぷり楽しめる、探偵小説という枠組で良作。2016/11/22
NAO
66
大学時代に先輩風を吹かせた者たちが、ちょっと新入生をビビらせようとやったことが、一人の人間の生き方を大きく変えてしまう。誰かに対して後ろ暗い罪の意識を感じているだけでなく、同じ大学を出ていながら何年か後には全く違う境遇になっている卒業生たちの複雑な胸の内は、よく描かれていると思う。だが、誰よりも特別で個性的なポール・チャピンとドーラの人物像が、私には今一つよく理解できなかった。結局、この作品は、ウルフとアーチーのおしゃべりがメインだったのかなと思う。 2017/10/24