感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
348
迫真のスパイ小説。ミステリーの要素には乏しいが(もっとも、誰が味方で誰が敵なのかという要素はある)、サスペンス性には大いに富んでいる。物語の舞台は1960年代初頭のベルリン。ニュルンベルク裁判によって、ナチは一掃されたはずなのだが、依然として戦後のドイツ内に強固な組織を持っていた。その組織に単身で立ち向かうのが主人公のクィラー(英国情報局員)である。派手な立ち回りはほとんどないが、陰湿な心理戦が双方によって繰り広げられる。「あたまスパイ」(石川喬司氏の命名)と称される所以である。最終局面はなかなかに壮観。2022/08/23
まふ
74
東西両ドイツ時代のベルリンで旧ナチス親衛隊の大物ツォッセンが「不死鳥(フェニックス)」という組織を立ち上げて世界攪乱の陰謀を実行しようとするが、英国諜報員クィラーが奮闘し、見事に解決する物語。近年の「親ナチズム」派の台頭を思い起こさせたり、また細菌なども武器とされ、ある意味今日的なテーマであった。緻密な計算と冷静な情勢判断、死を恐れぬ大胆な行動力を持つクィラーのニヒルでハードボイルドなプロスパイ根性に魅了され、一気に読み上げた。スパイものとしてはトップグループに入る作品ではないかと思う。推理100。2022/12/27
脂肪分
2
名作らしいんだが、ありがたみがさっぱり分からなかった。2011/06/26