感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
183
名作冒険小説。ポンコツ水上機で運び屋の仕事をこなしているケアリ。非合法には関わらないよう気をつけてはいるものの、事件はあっちからやってくる。命を狙われ、自慢の飛行機も狙われる。一癖も二癖もある悪人が近づいてきては怪しげな仕事をやらせようとする。金が欲しいとは言いながら、独自の美学を貫いてチャンスをいくつもフイにする。隠れたお宝の話が持ち上がり、悪党どもが活気づき…という話。主人公の漢気が光る。2023/07/25
goro@the_booby
68
闘いたくはないが、闘わざる負えないしまた闘いたいとうい気持ちも強く二人は対峙する。60年も前の作品だけど色褪せないわ。同名映画のオマージュらしいがこんな展開が待っていたとはライアル様様です。これからは月一でライアルにしようと思います。2022/05/30
k5
65
私の世代が少年マンガで何百回と読んだような設定(対人間のハンティングがもっとも危険)ですが、これがジャンルの嚆矢ですかね。『深夜プラス1』といい、この作家は典型を作れる存在なのだなあ、と思います。細かい話づくりはそれほどでもないんですが、それでも興奮します。2024/05/01
キジネコ
45
フィンランド、極北の地、北極圏の森林に抱かれる湖に小型のフロート機が着水する。ある時は命の瀬戸際を楽しむハンターを森におろし、ある時は濃い霧に阻まれる無視界の白い闇に怯え、ある時は帰還を望めぬ死地に敢えて飛び立ち、ある時は東西の琴線を翼で震わせ、ある時は憎しみと親愛の矛盾を胸に、友の亡骸を運ぶ。見事なまでに登場する全ての人物が別々の目的の為に存在を主張し、彼の地を踏みながらも物語は破綻なく美しい結末に導かれる。私達が執着し、束縛されている正義は、唯の幻影に過ぎず、夢の美醜は誰にも問えないのかも知れない。2014/11/22
まつうら
39
主人公のケアリはうらぶれた雇われパイロットで、なんだかその日暮らしっぽい雰囲気。冒険小説なのだから、何か目的地があってそこに向かっていくことになるのだろうと期待しながら読み進むが、冒険っぽい雰囲気を出しているのはアメリカからやってきた人嫌いの富豪ハンターだけ。それが物語の終盤に怒涛の展開をみせ、タイトルに隠された意味も明らかになるのだからおもしろい。「獲物」と書いて「ゲーム」と読ませるのは、翻訳者のセンスも光るところだ。あと、著者が元パイロットなので、飛行関係の描写が繊細で丁寧なのもいい感じ。2024/05/31