ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 一瞬の敵

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ハヤカワ・ミステリ文庫
一瞬の敵

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150705138
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

サンディはハイスクールに通うごく普通の少女だった。この夏までは。そのサンディがショットガンを持って家出した。前科者の恋人、デイヴィと一緒に違いないので連れ戻してほしいとのサンディの両親の依頼を受け、アーチャーは、デイヴィのアパートを訪ねた。だがサンディとディヴィはアーチャーのすきをつき、ショットガンを手に姿をくらましてしまった。あとには、サンディの父の雇主ハケットの広大な地所を示す地図が残されていた。2人の狙いは何か?事件を追うアーチャーが見た、富めるものと貧しき家族の生んだ悲劇を描く円熟期の異色作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kajitt22

29
シニカルな文章で語られる1960年台後半のアメリカ西海岸の描写に最初の1ページから引きこまれた。現在とその十数年前の二つの事件。複雑怪奇な人間関係。それに立ち向かうLAの私立探偵リュー・アーチャー。この主人公は私にはフィリップ・マーローと並んでやはりハードボイルドミステリーの典型的ヒーローだと再確認できた。数十年ぶりの再読。本棚の奥を探してもう一冊読もう。2021/05/27

シキモリ

23
<私立探偵リュウ・アーチャー>シリーズ十五作目の長編。家出少女の連れ戻しは果たしてこれで何度目かという出だしだが、比較的単調な捜索劇が徐々に緊迫感溢れる追跡劇へと変貌する様子は実にスリリング。今作は家系図が異様な程に入り組んでいるので、流石にメモを取らざるを得なかった。終盤は錯綜した人間関係が一気に収束する見事な手捌きを見せるが、やり過ぎ感は少々否めず。また、成り代わりという点においては「さむけ」の二番煎じという印象も拭い切れなかった。然しながら、キースを説き伏せるアーチャーの熱意は心揺さぶるものがある。2022/12/25

タナー

14
このシリーズは数あるハードボイルドのシリーズの中でも、私が好きなものの上位に位置する。ロスマクを夢中になって読んでいたのは、かれこれ30年程も昔のことになる。当時はハードボイルドだという理由だけで、特に作品の本当の素晴らしさを理解できてなかったように思う。自分も歳を重ねてきて、ようやくロス・マクドナルドという作家と、彼の描くヒーロー、リュウ・アーチャーの魅力が解るようになった気がする。素晴らしい作家であるのに最近では重版されることもなく、読める作品も限られてしまっている。残念なことだ。2019/03/31

アーチャー

8
主人公で物語の語り手であるアーチャーをあくまでも静観者と描き、事件の真相の狂気と陰惨さをただ下品に描いていない。決して派手な作品ではないが、人間の業の深さと哀しみを描いたマクドナルドの文章は、いつもながら見事としか言いようがない。2013/02/09

まぶぜたろう

7
三読目。最初に読んだ時はこのトリッキーさに驚いたが、さすがにあざとく思えるし、「さむけ」や「ウィチャリー」に比べて露呈される人物像が浅いように思う。■むしろ面白かったのは、ロス・マクにしてはアクションシーンが多いことと、老人ホームや「極彩色」のモーテル、死んだはずの者の声などが超現実的に迫ってくることで、そのドッペルゲンガー的主題は、ハードボイルを超えた、デビッド・リンチやリンチが依拠する「ローラ殺人事件」などの不気味なフィルム・ノワールを思い起こさせる。やはり本作もロス・マク傑作群の一つ。(○○○○)2019/11/08

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