出版社内容情報
レイモンド・チャンドラー[チャンドラー レイモンド]
著・文・その他
村上 春樹[ムラカミ ハルキ]
翻訳
内容説明
「聞こえているのかね?私はこう言ったんだ。こちらはクライド・アムニー、弁護士だと」―午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。見知らぬ弁護士の高圧的な口調に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。しかし、女には不審な男がぴったりとまとわりつき…。“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ第七作。
著者等紹介
チャンドラー,レイモンド[チャンドラー,レイモンド] [Chandler,Raymond]
1888年シカゴ生まれ。1933年に短篇「ゆすり屋は撃たない」で作家デビューを飾る。1939年には処女長篇『大いなる眠り』を発表。1953年に発表した『ロング・グッドバイ』(以上早川書房刊)で、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞に輝いた。1959年没。享年70
村上春樹[ムラカミハルキ]
1949年生まれ、早稲田大学第一文学部卒、小説家・英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
311
★★★☆☆ マーロウシリーズ第7作目で、チャンドラーの実質的な遺作。 これまでのシリーズに比べるとマーロウの活躍はあっさりしていて地味である。そして、これまで美女の誘惑を跳ね除けることが多かったマーロウにしては、簡単に女と寝るようになった。 これは、マーロウが真に愛した女性リンダとの失恋(と思っていた)からきたものではないかと感じる。タフなマーロウもやはり弱気になっていたんだなと。それだけに個人的にはラストシーンの余韻は素晴らしいと感じた。2022/10/08
セウテス
94
【私立探偵フィリップ・マーロウ】シリーズ第7弾〔再読〕。「長いお別れ」から数年後の物語で、チャンドラー氏の遺作である。女性を尾行して行き先を特定する、という依頼を受けたマーロウだが、本作は特に何が起こっているのか、何が問題なのか最初は解らない。どちらかと言えば、マーロウをより深く知る為の物語に思える。前作「ロング・グッドバイ」を読んでからの本作でないと、彼の人生の決断を感じないかも知れない。昔無条件でカッコいいと憧れたマーロウにも、今の歳になり様々な感情が浮かび、自分の人生をプレイバックする読書となった。2022/04/12
ムッネニーク
86
19冊目『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳、2018年9月、早川書房) 私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編小説としては7作目であり、チャンドラーの遺作でもある。村上春樹が翻訳するマーロウシリーズとしてはこれが6作目。 「優しくなければ…」のセリフで有名な作品ではあるが、内容そのものの評価は芳しくないらしい。 なぜそこで?と首を傾げたくなるベッドシーンがあるのだが、その理由は翻訳者のあとがきを読む事で理解する事が出来た。 〈優しくなれないようなら、生きるに値しない〉2024/02/19
まふ
61
村上春樹訳で読む。マーロウがとある弁護士から若い女性の行動チェックを依頼される。マーロウは殴られるが相変わらず不死身の頭蓋骨をしていることが証明される。いろいろと追っかけているうちにその女性が逃げ回る理由が明らかになり、マーロウは大物と堂々と渡り合ったりしてヘリコプターまで登場させてなかなかやるなと思う。今回は濡れ場が2回もあり読者サービスも手抜かりない。さしたる大きな事件もなく終わるが、仕事をしないで貰う金は要らないというカッコよさはやはりマーロウ的であり、それでいいのだろうと納得した。2022/10/12
NAO
60
今回のマーロウは、どこかうわの空で肝がすわっていない。そのせいか、薄い本なのに、なんか読みにくい。実は、チャンドラーは、『プレイバック』執筆前に付ききりで介護していた最愛の妻を亡くし妻の死後は鬱になり酒びたりの日々が続いていた。長い付き合いの担当者に鼓舞されてどうにか自分を奮い立たせて書いたのが『プレイバック』だった。マーロウが腑抜けになっているのは、最愛の恋人がパリに去ってしまったから。チャンドラーは、最愛の女性がいない悲しみ、苦しさをどうしても書かずにはいられなかったのだろうか。2024/09/23