感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
23
マスターズ警部が、メリヴェール卿の所へいく件が結構面白い。訪ねてきたブレイス卿夫人が娘みたいな外見だから、「奥様」ではなくつい「お嬢さん」とよびかけてしまう。彼女がアメリカ人と知って更に好感を。惚れてますな。メリヴェール卿と近所と聞くや、彼の脳内で「えっ、だったら彼に乗り出してもらえばいいのでは?盗まれてないんだしただ動いたってだけだし、こういう事件、大好物かも!で、勘違いかもしれなかったら、メリヴェール卿だけが動き損だし!面倒くさそうだし、放り投げたい!」と慌ただしく思考が行きかっているのが丸わかり。 2025/06/25
ホームズ
15
殺人が起きず密室で動かされる騎士の盃の謎。マスターズ警部が殴られるくらいでミステリとしては少し退屈。しかしウッドハウスのドタバタなコメディでも読んでいるような展開は面白いかな(笑)イタリア人の歌の教師や民主主義を愛するアメリカの下院議員、H・Mを刑務所に入れようとする女史など登場人物たちが個性的で楽しめました(笑)2012/08/12
Ribes triste
12
最後まで大笑いしながら読了。ディクスンが、PGウッドハウスばりのこんなドタバタ長編を書いているとは知りませんでした。HM卿シリーズのファンには、めでたしめでたしの最終話でした。2016/08/23
**くま**
11
H・M最後の作品。事件はカーといえばの密室、家宝「騎士の盃」はなぜ盗まれたのか、ではなくなぜ盗まれなかったのか、という変わった謎。密室の中で盃の位置は動かされているのに・・・。特にすごいトリックや目新しい趣向はないけれど、H・Mならではのドタバタ喜劇満載で安定の面白さ。ヒロインが童顔小柄のロリ系美女でありながら子持ち人妻というのは新しいかも(笑)。最後の犯人や真相も意外性があります。ただ人によっては納得いかないかな(笑)。伏線やヒントが作品全体にこれでもか!ってくらいたっぷりザクザク入ってるのが好きです。2014/08/26
Tetchy
10
カー自身も最後の長編だと意識していたのか、本作には過去の作品に出て来た人物達が見え隠れする。そして最後でありながら、実に微妙な謎を扱っており、非常に興味深かった。なんせ密室状態の中で盃の位置がなぜかずれており、なぜ犯人はこの盃を盗まなかったのかというのがテーマだからだ。そしてその真相は正に本格ど真ん中。手品のようなミスリードを披露してくれる。最後の最後まで生粋のエンターテイナーぶりを見せてくれた。2010/01/06