感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
19
エラリー・クイーンと並び立つのがこのジョン・ディクスン・カーである。『疑惑の影』では、フェルと共に血の香り漂う事件の真相を暴く、弁護士バトラーの初登場でもある。非常に面白かったなー、うん。俺は2001年に一度買って読んだっきりだったので、もうその真相なんて忘れていたのだけれど、それがまたいいよねえ。さすがはカーだわ、うん。もう一人、女性のクリスティーもそうだけど、三人ともにそれぞれみんな、名作や傑作ぞろいだもんねー。いやー、満足でした。2019/07/28
ホームズ
13
『バトラー弁護に立つ』で活躍(?)したパトリック・バトラーが再登場。前半の展開に比べると後半の失速が・・・。悪魔崇拝教団って(笑)フェル博士も登場しいるけど何となく中途半端な感じでしたね。他の作品に登場しているキャラクターの共演は良いんですけどね(笑)2012/09/03
Ribes triste
12
フェル博士シリーズ。…なのですが、今回活躍するのは、有能で熱血漢(ちょっとチャラい?)な法廷弁護士パトリック・バトラー。毒殺事件の容疑者となったレンショー夫人の窮地を救うべく、捨て身の捜査に乗り出す。いつになく冒険活劇になっています。そして真犯人の登場。ああ面白かった。2018/07/10
餅屋
11
フェル博士シリーズ18冊目、表紙が…▲テイラー夫人の殺害容疑で捕われた娘ジョイスの弁護を引き受けたバトラー。判決の後、夫人の甥が毒殺され…▼スリラーを思わせますが、安心の本格です。芝居がかったバトラーが、ハードボイルドか冒険小説の主人公のように暴れ倒す。いけ好かない、惚れっぽく、美女にまみれた自信家がワトソン役でなく探偵役なので、そう感じるのか?法廷からあれよあれよと言ううちに、カーお得意の世界感に巻き込まれていくプロットは、バタバタしているものの…これまでとは違う新鮮さ。叙述に富んだ異色作(1949年)2024/07/18
Tetchy
9
主人公のフェル博士が狂言回しの役割に終始しており、相手役の弁護士バトラーのプレイボーイ振りが際立っていることもあり、通常のカー作品とは異なり、かなりロマンティシズムが濃い。事件はカーお得意の毒殺物だが、この展開はなんとも飛躍しすぎ。恐らくカーはこの作品を書いていた頃は過剰なまでのオカルト趣味に嵌っていたように推測する。前半の法廷場面から考えるとなんともバランスの悪い作品だ。2009/08/15