感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
18
保安官と共に選挙で選ばれた、正義感に燃える若い地方検事ダグラス・セルビイの最初の事件。選挙で彼を支持した新聞と反対候補者を推していた新聞とのせめぎ合いの中で、失敗を許されない事件解決にあたることに。しかし、選挙で選ばれ任期がしっかりしているはずなのに、無能と決めつけられるとリコールで即座に引きずり降ろされるって、アメリカの地方の民主主義って不思議。2019/04/08
bapaksejahtera
13
S53刊の文庫で読む。その前にポケミスででたのがS32。訳は明治生の人で、fanをご贔屓様と訳するなど古い所があるが、私には気にならない。ペリーメイスンのテレビ人気でガードナーの翻訳を大棚浚えしたのだろうか。原作は1937年であるから、その時代の推理小説スタイル、例えば妙に説明的な台詞回し等は、現代作品と大いに異なると感じた。とはいえ選挙で選任された地方検事が地方新聞のプロパガンダで地位を危うくされるポピュリズム、加州におけるハリウッドの政治的力量を背景に、遺産問題を主なプロットとする筋立ては巧みである。2025/06/20
弾十六
2
1937年1月出版。ダグラス セルビイ第1話。Country Gentleman誌連載(1936-9〜1937-1) 連載時のタイトルはThe Thread of Truth。検事になりたかったわけではないが、不正を憎む市民として立候補し当選したセルビイ。探偵小説と現実の違いで悪夢を見ます。新聞記者シルヴィアの助けを借り、セルビイは真相にたどり着きます。法廷シーンはありません。ガードナー得意の複雑に入り組んだ筋立て、サスペンスの盛り上げ方も上手です。2017/06/01
がんぞ
2
新人検事(米国では保安官と同じく選挙で選ばれる)の最初の事件。ホテルの一室でメソジスト派(質素が売り物)牧師が死んで発見された。はじめは単なる睡眠薬飲み過ぎの事故だと思われた。ところが、偽名を使っていたこと、5000ドル所持の謎、ちらつくトップ女優(マリリン・モンローを想定したと思われる)、下手なシナリオ原稿(彼女はなぜそれをわざわざ読んだのか)の発見。連続殺人はこうした物語の定石だが、警察犬が殺されたことで捜査はほぐれていく。まさかシナリオが実話とは。タイプライターに指紋を残した致命的ミス。意外な真犯人2013/01/16