出版社内容情報
決闘に敗れ命を落とした男は本当に有罪だったのか? フランス最後の決闘裁判、1386年「カルージュ対ル・グリ事件」の真相に迫る
内容説明
1386年、百年戦争さなかのフランス。騎士ジャン・ド・カルージュの妻マルグリットが強姦され、犯人に従騎士ジャック・ル・グリの名が挙がった。重罪犯としてル・グリの死刑を望むカルージュと無実を訴えるル・グリの主張は平行線をたどり、争いの決着は生死を賭けた決闘裁判に委ねられた。闘いに敗れ名誉も命も奪われた男は本当に有罪だったのか?今なお歴史家の意見を二分する事件の真相に迫る一冊。
著者等紹介
ジェイガー,エリック[ジェイガー,エリック] [Jager,Eric]
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)英語学科教授。専門は中世の英語と文学。3作目の著作となる『最後の決闘裁判』は、14世紀フランスで起きたスキャンダラスな事件について史料を丹念にひもといて描き、英国推理作家協会のノンフィクション・ゴールドダガー賞にノミネートされた
栗木さつき[クリキサツキ]
翻訳家、慶應義塾大学経済学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
84
1386年12月27日パリ・サン・マルタン・デ・シアン修道院にてジャン・ド・カルージュは、ジャック・ル・ブリと決闘裁判”神判”を行った。面前には17歳の若き国王シャルル6世。決闘を見つめる黒服の妻マルグリッドは、夫が負ければ強姦の偽証罪で生きたまま火あぶりの刑に処せられる。映画「最後の決闘裁判」の冒頭シーン。14世紀ノルマンディ―ではイングランドとの百年戦争の最中、争いに明け暮れていた。強姦は、人間性の冒涜より財産の所有権の奪取とみなされ、聖職者の場合宗教裁判で無罪になるので、表に出ることはほぼなかった。2021/10/31
サケ太
18
ノンフィクションだからこそ味わえる重厚な物語。フランス史上最後に行われた決闘裁判。史料を元に構成されたノンフィクション。当時のフランスの情勢、貴族の倫理観。決闘を行う事になるジャン・ド・カルージュとジャック・ル・グリ、そしてマルグリッドの立場。様々な背景が丁寧に説明され、徐々に決闘へと歩を進めていく。この時代においての女性の立場の弱さ、決闘裁判という神判の形態の一つに驚かされた。決闘シーンの臨場感は素晴らしかった。2021/09/24
冴子
16
リドリー・スコットの映画が面白かったので、はるをさんのオススメもあって読んでみました。決闘裁判は神の審判の結果だとすると、実際に悪をした者は絶対に勝てないはず。真相を知っているのは本人だけだから、正義感だけではなく、神を信じる心に支配されるものだけができることなんだ、と読んでいて感じた。しかし真相を知るものは自分以外にはいないのだが。 当時のイングランド、スコットランド、フランスの歴史的背景が興味深かった。2022/04/01
tekka
4
「訴訟記録によれば、強姦罪で訴えられた加害者のなかでは、教会で職に就いている聖職者の数が突出して多かった。だが、かれらは“聖職特権”を主張し、一般の裁判ではなく宗教裁判を受け、重い刑罰をまぬかれた。」2022/01/07
pitch
4
映画を観て。映画の決闘シーンなどは、大幅に盛ってるのだろうなと思ってたのだけど、かなり原作に忠実に作られていたのだと知ってびっくり。映画も長尺を感じさせなかったけど、この本も非常に読みやすくて、あっという間に読了。今だと筋肉バカとでも言おうか、カルージュの人物像が強烈。マットデイモン巧かったな。2021/12/05